著者
石川 遥至 内川 あかね 風間 菜帆 鈴木 美保 宮田 裕光
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-26, 2020 (Released:2022-02-22)
参考文献数
29

近年,マインドフルネス瞑想のプログラムは,欧州などを中心に小中学校を含む教育現場に応用されており,日本への導入も検討されている。大学の多人数講義における瞑想実践の効果に関して,量的な検討は少ない。本研究では,大学学部生を対象とした1学期間の講義の冒頭で,5分間の集中ないし観察瞑想を実施し,講義終了時における気分および動機づけ状態を含む心理的効果を検討した。その結果,5分間瞑想を実施した講義回では,実施しなかった回よりもリラックスの得点が有意に高かった。また,瞑想の出来に関する自己評定が高い学生は,自己評定が低い学生よりも,リラックス,講義への集中度,理解度,興味の得点がいずれも有意に高かった。これらから,講義冒頭における瞑想の実践は,講義時間中を通して望ましい心理的効果を持つことが示唆される。一方,瞑想の出来に対する自己評価と瞑想の種類も,これらの効果に関連しているかもしれない。