著者
宮田 裕光 田野 真那佳 金 法龍 董 子玉 ロア 万莉
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.23-32, 2021 (Released:2022-02-22)
参考文献数
36

武道は歴史的戦闘技術を起源とする実践であり,マインドフルネスと共通の要素を持つことが指摘されている。しかしながら,日本における実践者を対象とした実証的知見は少ない。本研究では,剣術実践者1名および非実践者3名を対象に,マインドフルネス傾向,内受容感覚への気づき,および心理的健康度を検討した。内受容感覚への気づきの課題として,心理測定尺度に加え,心拍検出課題,および呼吸数計数の正確さを測定する独自の課題を用いた。その結果,実践者では,心拍検出課題の成績が非実践者よりも高かった。また,マインドフルネスの合計および複数の下位尺度の得点,内受容感覚への気づきの複数の因子の得点,および主観的幸福感の合計および複数の下位尺度の得点も,実践者のほうが高かった。武道の継続的実践がマインドフルネス,身体内部環境への鋭敏な気づき,および心理的健康度を高めているという見方を支持する予備的知見であると考えられる。
著者
石川 遥至 内川 あかね 風間 菜帆 鈴木 美保 宮田 裕光
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-26, 2020 (Released:2022-02-22)
参考文献数
29

近年,マインドフルネス瞑想のプログラムは,欧州などを中心に小中学校を含む教育現場に応用されており,日本への導入も検討されている。大学の多人数講義における瞑想実践の効果に関して,量的な検討は少ない。本研究では,大学学部生を対象とした1学期間の講義の冒頭で,5分間の集中ないし観察瞑想を実施し,講義終了時における気分および動機づけ状態を含む心理的効果を検討した。その結果,5分間瞑想を実施した講義回では,実施しなかった回よりもリラックスの得点が有意に高かった。また,瞑想の出来に関する自己評定が高い学生は,自己評定が低い学生よりも,リラックス,講義への集中度,理解度,興味の得点がいずれも有意に高かった。これらから,講義冒頭における瞑想の実践は,講義時間中を通して望ましい心理的効果を持つことが示唆される。一方,瞑想の出来に対する自己評価と瞑想の種類も,これらの効果に関連しているかもしれない。
著者
宮田 裕光 赤塚 咲希
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-22, 2022 (Released:2022-04-21)
参考文献数
12

マインドフルネスに基づく介入は,肥満および摂食障害の治療に効果を持つことが示唆されている。本研究では,健康な日本人の大学生を対象とし,食事前の短時間の呼吸瞑想による介入の食行動およびマインドフルネス傾向に対する効果を予備的に検討した。1名の参加者が毎回の食事前に5分間の呼吸瞑想を2週間実践し,別の2名は同じ期間中,瞑想を実践しなかった。介入を行った参加者では,介入期間終了時および終了2週間後のフォローアップ時点において,介入開始前よりも,食行動評価,抑制的摂食,マインドフルネスの各尺度の得点は増大し,情動的摂食,外発的摂食の得点およびBMIは減少していた。瞑想を行った参加者の内観報告からも,食事に対する気づきや抑制の増大が示唆された。これらの結果は,日本人の健常成人において,食事前の短時間の呼吸瞑想が食行動およびマインドフルネス傾向に望ましい効果をおよぼす可能性を示唆している。
著者
中川 裕美 前田 泰宏 久保 真人
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.4-14, 2020 (Released:2022-02-22)
参考文献数
21

本研究の目的は,うつ病等の休職者を対象としたリワーク・プログラムにおいてマインドフルネス認知療法(MBCT)をベースとした「マインドフルネス講座」を実施し,その有効性とワーク・ライフ・バランスへの影響について検討することであった。マインドフルネス講座は,1回につき2時間の集団によるプログラムを計3回により構成した。本研究の参加者は17名であり,無作為に介入群(9名)と待機群(8名)に割当てて有効性の検討を行った。その結果,セルフ・コンパッションのポジティブ因子が向上し,身体的症状が軽減され,ワーク・ライフ・バランスの家庭の重要度が増した一方で,仕事への労力度が低下することが示された。また,各回における感想から,マインドフルネスの体験が参加者にもたらした変化について検討し,復職支援におけるマインドフルネスの意義と今後の課題について考察した。
著者
川島 一朔 灰谷 知純 杉山 風輝子 臼井 香 井上 ウィマラ 熊野 宏昭
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.3-7, 2016 (Released:2022-02-22)
参考文献数
6

瞑想中に行われる注意制御と注意訓練(Attention training technique: ATT)実施中に行われる注意制御は類似していると推測されるが,これらが同質であるかは不明である。そこで,瞑想経験者がATT を実施している際の脳活動を明らかにし,先行研究との比較を試みた。瞑想の経験があり右利きである男女8 名に対し,開眼安静時およびATT 実施時の脳波が測定された。そして,sLORETA ソフトウェアで脳波の発生源を推定し,安静時とATT 実施時の間で比較がなされた。結果,安静時と比較し,注意転換時及び注意分割時に右背外側前頭前野におけるガンマ波の有意な増加が見られた。先行研究から,この結果は,瞑想時に見られる脳活動の一部と一致しており,特定の対象に対する注意維持を反映していると考えられる。今後も参加者数を増やし検討を続けるとともに,引き続き瞑想中の脳活動との比較を進める必要がある。
著者
相馬 花恵 駒村 樹里 越川 房子
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.14-27, 2016 (Released:2022-02-22)
参考文献数
32

本研究では,トラウマを抱える児童が多く在籍する児童相談所における支援として,マインドフルネスにおいて重視されている心的態度,すなわち,身体感覚などのあらゆる経験に対する「受容的な気づき」を促す技法に着目した。そして,そうした技法の一つとしてヨーガを取り上げ,当該施設を利用する児童に適用した際の結果を検討した。具体的には,ヨーガに参加した33名の児童にアンケート調査を行い,その内容をKJ法に基づくカテゴリー化により分類・検討した。その結果,以下のことが示された。すなわち,「受容的な気づき」を重視したヨーガは,①トラウマ症状をはじめとする不適応感を抱える児童にも適用しやすい技法の一つであることが示唆された。また,②ヨーガを通して,心身の緊張が緩和されたことを示す報告が得られた。さらに,③日常生活においてもヨーガを活用したいと願う児童や,実際に生活の中でヨーガを実施している児童もいたことが示された。
著者
吉村 仁
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.28-40, 2016 (Released:2022-02-22)
参考文献数
31

本研究では,女子少年院において79名の少年に対して平均約9ヶ月間,毎日15分間のマインドフルネス瞑想に基づくプログラムを実施し,少年たちがいかなる効果および苦痛を体験するかについて質的調査をした。結果,約84%の者が合計732項目の効果を報告し,「1. 身体」「2. 感情」「3. 記憶」「4. 現実対処」「5. 瞑想観」「6. 人間性」の6カテゴリーに分類された。また約77%の者が合計280項目の苦痛を報告し,「1. 身体」「2. 感情」「3. 記憶」「4. 現実対処」「5. 瞑想技法」「6. 変化への不信」の6カテゴリーに分類された。今後の課題として,体験内容のプロセスについて,苦痛と効果との関連を視野に入れてより詳細に検討することや,各少年の元々の人格の状態と体験内容との関連,再非行防止への有効性の検証などについて明らかにしてゆくことなどが浮かびあがった。
著者
永井 宗徳 灰谷 知純 川島 一朔 熊野 宏昭 越川 房子
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-13, 2016 (Released:2022-02-22)
参考文献数
18

マインドフルネスとは,「今ここでの経験に,評価や判断を加えることなく意図的に,能動的な注意を向けること」であり,その訓練は,近年,うつや不安の治療に使用されている。訓練の途上では,能動的に注意を制御する練習が行われ「注意機能」が向上するとされ,また,嫌悪的な自身の感情や身体感覚などを回避しようとする「体験の回避」が低減するとされている。本研究ではマインドフルネス呼吸法を使用し,日常的に行える,短時間かつ短期間の簡易な実習でも,注意機能を向上させ,体験の回避を低減させるのかについて検討した。注意機能の計測にはAttention Network Test を用いた。その結果,訓練により体験の回避が低減されることが有意傾向で示された。この結果は,自己の体験をありのままに受け入れることが促進されたことによると考えられる。しかしながら,注意機能に変化は認められなかった。注意機能を向上させるには本実験のような教示・訓練条件では不十分であったと考えられる。