著者
鈴木 美保 五十嵐 彰 大沼 克彦 門脇 誠二 国武 貞克 砂田 佳弘 西秋 良宏 御堂島 正 山田 哲 吉田 政行
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.471-484, 2002-12-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
36

本論では,剥片の製作痕跡から石器製作時に使用されたハンマー素材を推定する方法を,実験考古学的手法によって考察した.硬質の石,軟質の石,鹿角,木の4素材のハンマーを用いて,実験的に製作した剥片痕跡の諸属性を検討した結果,ハンマー素材の差は剥片の剥離開始部分の属性に特徴的に現れることが判明した.そして,それらの諸属性を組み合わせることで,各素材と相関性の高い5類型に区分をすることができた.また,各素材と剥離対象物である黒曜石のビッカース硬さ測定した結果,その類型区分はハンマー素材と剥離対象物とのビッカース硬さの関係に相関していることも明らかになった.さらに,南関東地方の後期旧石器時代の2遺跡出土の剥片群に対してハンマーの推定を試みたところ,いずれも軟質の石によって製作されたものである可能性が高いことがわかった.
著者
小口 和代 才藤 栄一 水野 雅康 馬場 尊 奥井 美枝 鈴木 美保
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.375-382, 2000-06-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
19
被引用文献数
67 117

機能的嚥下障害スクリーニング法として,「反復唾液嚥下テスト」(the Repetitive Saliva Swallowing Test: RSST)を考案した.30秒間の平均空嚥下回数は若年者(N=30)で7.4回,高齢者(N=30)で5.9回,30秒間の平均人工唾液嚥下回数は若年者で7.7回,高齢者で6.2回であった.空嚥下,人工唾液嚥下ともに高齢者は若年者より有意に嚥下回数が少なかった.一方,若年者,高齢者それぞれの空嚥下と人工唾液嚥下の嚥下回数には有意差を認めなかった.嚥下運動の確認は喉頭挙上の触診で可能であった.高齢者の積算嚥下時間(検査開始から嚥下完了時点までの時間)上限より,RSST 2回/30秒間以下が嚥下障害のスクリーニング値として設定できた.
著者
石川 遥至 内川 あかね 風間 菜帆 鈴木 美保 宮田 裕光
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-26, 2020 (Released:2022-02-22)
参考文献数
29

近年,マインドフルネス瞑想のプログラムは,欧州などを中心に小中学校を含む教育現場に応用されており,日本への導入も検討されている。大学の多人数講義における瞑想実践の効果に関して,量的な検討は少ない。本研究では,大学学部生を対象とした1学期間の講義の冒頭で,5分間の集中ないし観察瞑想を実施し,講義終了時における気分および動機づけ状態を含む心理的効果を検討した。その結果,5分間瞑想を実施した講義回では,実施しなかった回よりもリラックスの得点が有意に高かった。また,瞑想の出来に関する自己評定が高い学生は,自己評定が低い学生よりも,リラックス,講義への集中度,理解度,興味の得点がいずれも有意に高かった。これらから,講義冒頭における瞑想の実践は,講義時間中を通して望ましい心理的効果を持つことが示唆される。一方,瞑想の出来に対する自己評価と瞑想の種類も,これらの効果に関連しているかもしれない。
著者
小口 和代 才藤 栄一 水野 雅康 馬場 尊 奥井 美枝 鈴木 美保
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.375-382, 2000-06-18
被引用文献数
51

機能的嚥下障害スクリーニング法として,「反復唾液嚥下テスト」(the Repetitive Saliva Swallowing Test: RSST)を考案した.30秒間の平均空嚥下回数は若年者(N=30)で7.4回,高齢者(N=30)で5.9回,30秒間の平均人工唾液嚥下回数は若年者で7.7回,高齢者で6.2回であった.空嚥下,人工唾液嚥下ともに高齢者は若年者より有意に嚥下回数が少なかった.一方,若年者,高齢者それぞれの空嚥下と人工唾液嚥下の嚥下回数には有意差を認めなかった.嚥下運動の確認は喉頭挙上の触診で可能であった.高齢者の積算嚥下時間(検査開始から嚥下完了時点までの時間)上限より,RSST 2回/30秒間以下が嚥下障害のスクリーニング値として設定できた.
著者
鵜澤 成一 鈴木 美保 中久木 康一 道 泰之 山城 正司 原田 清
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.151-159, 2013-12-15 (Released:2014-01-30)
参考文献数
12
被引用文献数
5 1

前腕皮弁は薄くしなやかな皮弁であり,長い血管柄を有するため頭頸部再建に多用されている皮弁の1つである。当科では,1987年から頭頸部領域の欠損に対し,遊離皮弁を用いた再建手術を行っている。2012年9月までにおいて395例に対し,401皮弁の移植手術を行ってきた。皮弁の内訳は,前腕皮弁193例,腹直筋皮弁155例,肩甲骨複合皮弁42例,腓骨皮弁8例,前外側大腿皮弁2例,広背筋皮弁1例であり,前腕皮弁が最も多く用いられていた。前腕皮弁を用いた再建手術の適応としては,おおむね半側までの舌口底欠損,頰粘膜,中咽頭欠損などであり,さまざまな頭頸部領域の欠損に用いることが可能であった。前腕皮弁移植における生着率は99%(191例/193例)であったが,口腔内の創部哆開などの合併症は39例(20.1%)に生じており,また,皮弁採取部の合併症は27例(13.9%)に生じていた。今回の概説では,当科における前腕皮弁の採取法,適応,再建時の工夫などについて概説し,さらに,今後の課題について述べてゆく。
著者
杉浦 令人 鈴木 美保 村田 元徳 亀頭 千鶴 江島 幸子 小野 早智子 佐藤 ゆかり 花輪 千草
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.C0162, 2006

【目的】脳卒中後遺症患者の大腿骨頚部骨折の発生率は、一般高齢者にくらべ4から12倍といわれている。大腿骨頚部骨折後のリハビリ訓練においても、脳卒中後遺症が阻害因子となり、骨折前の状態に復帰するまでに長期間かかる傾向にある。今回、当院回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期病棟)における脳卒中後の大腿骨頚部骨折患者の特徴を調査し、脳卒中後の大腿骨頚部骨折リハビリ訓練の強化点を検討したので報告する。<BR><BR>【対象】2003.4.1から2005.8.31までに、当院回復期病棟入院の大腿骨頚部骨折患者で、脳卒中既往のある37例(以下、脳卒中群)中、脳卒中に対しても当院でリハビリを行った7例を対象に、詳細な調査・検討を行った。年齢は平均73.7±9.4歳、全員女性、脳梗塞6例、くも膜下出血1例であった。また、この期間内に当院回復期病棟に入院した脳卒中の既往のない大腿骨頚部骨折患者は13例(以下、既往なし群)であった。<BR><BR>【方法】当院データベースをもとに、大腿骨頚部骨折の受傷側、受傷事由、入院期間、麻痺側運動機能変化、関節可動域変化、ADL変化、歩行率、歩行速度などについて調査した。また、脳卒中退院時評価と、大腿骨頚部骨折退院時評価の比較もおこなった。麻痺側運動機能はBrunnstrom Recovery Stage(以下、BRS)、関節可動域はRange Of Motion(以下、ROM)、ADLはFunctional Independence Measure(以下、FIM)にて評価した。<BR><BR>【結果】7例について受傷側は7例とも麻痺側、受傷事由はトイレへの歩行移動時での転倒6例、ベッドからの転落1例、入院期間101.1±51.0日、BRS下肢II:1例、III:3例、IV:1例、V:1例、VI:1例、ROM膝関節伸展脳卒中退院時0°:7例、頚部骨折退院時0°:2例、-5°:2例、-10°:3例、FIM運動合計脳卒中退院時71.7±5.4点、頚部骨折退院時72.3±8.5点、認知合計脳卒中退院時31.9±3.8点、頚部骨折退院時31.4±3.2点、歩行率脳卒中退院時60.424.2step/min、頚部骨折退院時43.3±15.2 step/min、歩行速度脳卒中退院時13.6±8.2m/min、頚部骨折退院時8.9±2.7 m/minであった。脳卒中群と既往なし群の比較では、入院期間は脳卒中群86.3±41.0日、既往なし群67.8±40.6日であり脳卒中群が18.5日長かった。FIMは、運動合計入院時:脳卒中群55.9±17.2点、既往なし群58.3±24.1点、退院時:脳卒中群68.3±16.1点、既往なし群71.1±21.8点であった。<BR> <BR>【考察】受傷側は、7例では100%麻痺側、脳卒中群全体でも92%であり、諸家の報告どおりであった。女性が多いのは、骨粗鬆症の関与も考えられるが、受傷事由も考え合わせると、介護者への遠慮により能力以上の行動をしがちな状況の可能性がある。今回の調査から、脳卒中後の大腿骨頚部骨におけるリハビリの強化点としては、不十分な関節可動域および効率の悪い歩行・歩容の改善が挙げられた。また、家屋改修や介護指導も、再度評価しなおす必要があると思われた。 <BR><BR>