著者
三浦 麻子 飛田 操
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.124-136, 2002-04-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
24
被引用文献数
6 4

本研究では, 集団創造性に影響を与える要因として成員アイディアの多様性を取り上げ, その効果を実証的に検討した。多様性の高い集団による相互作用過程においては, 集団が創造性パフォーマンスを発揮する可能性が高まり, 集団の創発性が生まれることが期待される。しかしその一方で, コミュニケーションにおいては葛藤を生じやすくさせる方向で機能することが考えられる。実験1では, 集団成員の個人レベルのアイディア創出結果にもとづいてアイディアの多様性を分類し, 集団の創発性と成員の心理的変数に対する効果を検討した。しかし, 予測したような多様性の効果は見られず, 成員アイディアの多様性が十分な効果を持つためには, より円滑なコミュニケーションを促進するような, 類似性や共通性を有することが必要となることが示唆された。そこで, 実験2では, 成員のアイディアの多様性に加えて類似性についても検討し, この2つの基準にもとづいて集団を分類した検討をおこなった。その結果, 多様性と類似性の相乗効果によって, 集団の創発性が高められる可能性が示された。以上の研究結果から, 集団が創造的となるためには, 成員相互の多様性と類似性がともに必要となることが示唆された。
著者
飛田 操
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.55-67, 2014 (Released:2014-08-29)
参考文献数
56
被引用文献数
2

成員の等質性と異質性が集団による問題解決パフォーマンスに及ぼす効果を検討した研究のレビューをとおして,多様な成員から構成される異質性の高い集団は,潜在的には優れたパフォーマンスを示す可能性が高くなること,しかし,一方で,このような多様な成員からなる異質性の高い集団においては,相互のコミュニケーションや共通理解の困難さが高まり,情緒的魅力や集団凝集性が低減する可能性も高まり,あるいは,対人葛藤が生起する可能性も高まること,そして,これら対人関係にかかわる問題が集団による問題解決パフォーマンスに抑制的に影響する可能性があることを明らかにした。長期に持続する確立した集団や,介入・訓練を受けた集団においては,異質性の高い集団がより優れたパフォーマンスを発揮する可能性が示されている。このことは,相互の異質性について成員が相互に共有し,これらの異質性を前提とした相互依存的関係が形成されるかどうかが集団による問題解決パフォーマンスに大きな影響を与えていると考えられる。
著者
飛田 操
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1217, (Released:2014-03-28)
参考文献数
56
被引用文献数
2

成員の等質性と異質性が集団による問題解決パフォーマンスに及ぼす効果を検討した研究のレビューをとおして,多様な成員から構成される異質性の高い集団は,潜在的には優れたパフォーマンスを示す可能性が高くなること,しかし,一方で,このような多様な成員からなる異質性の高い集団においては,相互のコミュニケーションや共通理解の困難さが高まり,情緒的魅力や集団凝集性が低減する可能性も高まり,あるいは,対人葛藤が生起する可能性も高まること,そして,これら対人関係にかかわる問題が集団による問題解決パフォーマンスに抑制的に影響する可能性があることを明らかにした。長期に持続する確立した集団や,介入・訓練を受けた集団においては,異質性の高い集団がより優れたパフォーマンスを発揮する可能性が示されている。このことは,相互の異質性について成員が相互に共有し,これらの異質性を前提とした相互依存的関係が形成されるかどうかが集団による問題解決パフォーマンスに大きな影響を与えていると考えられる。