著者
飯塚 卓哉 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.682-689, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

防災計画において,避難行動を正確に予測する手法が必要とされている.本研究では災害が発生してから避難を完了するまでの一連の動的意思決定をモデリングする.避難行動データはパラメータ推定において課題となる点が2つある.1つ目は過去の災害での行動データは犠牲者の回答を含まない点,2つ目は仮想の災害を想定した避難行動調査データは正常性バイアスを含む点である.本研究では,活動経路選択モデルを用いて避難行動をモデル化し,避難データに含まれるバイアスを除去してパラメータ推定を行う手法を提案する.この手法により,避難開始地点や避難経路上の中継地での避難以外の活動による滞在時間,および避難遅れを合理的に評価可能となる.本手法の有効性は数値実験とケーススタディにより示された.
著者
増田 慧樹 羽藤 英二 小関 玲奈 飯塚 卓哉
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-20, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)
参考文献数
25

次の災害に備えるにあたり,過去の復興都市計画の定量評価が重要である.その際,空間整備コストと避難完了人数のトレードオフを考慮する必要がある.本研究では,道路整備コストを最小化し避難完了人数を最大化するネットワークの容量構成パターンを求める,避難ネットワークデザイン問題を定式化する.また定式化において,避難スケジューリングの再現に適した再帰ロジットモデルを用いる.これを三陸沿岸に適用し,実際の人口分布と,チリ地震津波以降の高台移住施策が異なった場合の人口分布シナリオで結果を比較し,過去の復興都市計画をパレートフロンティア上で評価した.道路整備が避難に与える影響の人口分布による違いの考察や,パレート解における道路容量拡張パターンと実際の道路建設の比較により,本評価手法の有用性を示した.