著者
飯嶋 一浩 竹内 将俊 Kazuhiro Iijima Takeuchi Masatoshi
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.16-22,

クロハナムグリの生活史を屋外飼育実験により推定した。その結果,本種は年1化性であり,成虫の活動期間は4月下旬から8月下旬であった。幼虫は3齢が終齢であった。産卵は初夏に行われ,8月中旬には新成虫となり地上に出現した。しかしながら,野外において晩夏から秋季にかけて成虫を発見できないことから,自然状態では新成虫は羽化後も朽木内に留まり,そのまま越冬すると考えられる。初年度の越冬態は成虫であり,翌春に休眠から覚めた成虫は地上に出現し,摂食活動と生殖活動を行った。なお,成虫の一部は2年間生存し,2回の繁殖期があった。野外においても体表が磨耗し2年間生存していると推測される個体が時折確認されることから,一部の個体は自然条件下においても多回繁殖を行っていると考えられる。成虫の寿命は1年から2年であった。これらの結果から本種の生活史型は,年1化・成虫越冬・多回繁殖型と言える。このように,クロハナムグリは一部の成虫による多回繁殖という戦略を持つことによって,朽木という数少ない餌資源を長期に探索し,次世代を残すことが可能な能力を備えていた。なお,成虫の訪花植物について調査した結果,1綱7目8科23種が確認された。
著者
飯嶋 一浩 竹内 将俊 Kazuhiro Iijima Takeuchi Masatoshi
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.89-96,

シロテンハナムグリの生活史を,屋外飼育実験の結果を基に推定した。飼育実験の結果,本種の生活史型は,年1化・幼虫越冬・多回繁殖型であった。成虫の寿命は約1年で,活動期間は5月から9月であるが,夏季に羽化した新成虫は摂食活動の後に地中で越冬して,翌年も再び活動を行った。なお,新成虫の多くは初年度には繁殖活動を行わないが,一部は初年度と次年度の2回,繁殖を行った。幼虫は3齢が終齢であり,初年度の冬季は終齢幼虫の状態で休眠室を形成し,この中で越冬した。成虫の餌資源植物について調査した結果,餌資源植物は3綱18目25科42種であった。このうち訪花植物は2綱14目19科30種,樹液利用植物は2綱3目3科5種,果実利用植物は1綱4目5科8種であった。本研究の結果から,季節を通じ成虫が花粉・花蜜食と樹液食や果実食への切替えを行っていることが,餌資源の枯渇時期を回避することに繋がり,このことが同じハナムグリ亜科の他種に比べて成虫の活動期間と寿命が長い一因であると考えられた。
著者
飯嶋 一浩 竹内 将俊 Kazuhiro Iijima Takeuchi Masatoshi
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.89-96, 2007-09

シロテンハナムグリの生活史を、屋外飼育実験の結果を基に推定した。飼育実験の結果、本種の生活史型は、年1化・幼虫越冬・多回繁殖型であった。成虫の寿命は約1年で、活動期間は5月から9月であるが、夏季に羽化した新成虫は摂食活動の後に地中で越冬して、翌年も再び活動を行った。なお、新成虫の多くは初年度には繁殖活動を行わないが、一部は初年度と次年度の2回、繁殖を行った。幼虫は3齢が終齢であり、初年度の冬季は終齢幼虫の状態で休眠室を形成し、この中で越冬した。成虫の餌資源植物について調査した結果、餌資源植物は3綱18目25科42種であった。このうち訪花植物は2綱14目19科30種、樹液利用植物は2綱3目3科5種、果実利用植物は1綱4目5科8種であった。本研究の結果から、季節を通じ成虫が花粉・花蜜食と樹液食や果実食への切替えを行っていることが、餌資源の枯渇時期を回避することに繋がり、このことが同じハナムグリ亜科の他種に比べて成虫の活動期間と寿命が長い一因であると考えられた。