著者
飯田 智哉 伊藤 和 岡村 直香 飯田 道夫 和田 吉生 安藤 なつ美 三浦 光舞 吉崎 秀夫 門脇 睦子 山崎 なな 長岡 健太郎
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.55-60, 2023 (Released:2023-02-17)
参考文献数
7

コロナ禍が終末期の在宅療養に与えた影響や遺族満足度などについて検討することを本活動の目的とした.当院で訪問診療を受けていた居宅終末期がん患者のうち,在宅で看取った100名の遺族を対象にアンケート調査を行い,コロナ禍が在宅療養に与えた影響,遺族満足度などについて検討した.回答率は72.0%で,52.8%の遺族が在宅療養の選択にコロナ禍が影響したと回答した.遺族満足度は98.6%であり,当院でコロナ禍に在宅療養を選択した終末期がん患者に対しても,高い遺族満足度が達成できていた.
著者
内藤 大輔 若山 文規 静川 裕彦 中野渡 正行 飯田 道夫 福原 敬
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.85-89, 2020 (Released:2020-04-26)
参考文献数
18

Stiff-person syndrome(SPS)は,特徴的な筋硬直および有痛性痙攣により進行性に四肢軀幹筋の運動障害を引き起こす極めて稀な疾患であり,診断に苦慮することがある.SPSでは抗GAD抗体や抗amphiphysin抗体などの自己抗体が証明される場合があり,これらの抗体による中枢神経系でのGABA作動性ニューロンの障害が推測されている.今回われわれは,進行期乳がん患者に発症した傍腫瘍性SPSの症例を経験したので報告する.【症例】患者は52歳の女性で,両側肺転移,両側がん性胸膜炎,肝転移,がん性腹膜炎,両側卵巣転移を伴う進行期乳がんと診断された.全身状態不良のため抗がん治療の適応はなく,緩和ケア病棟入院にて酸素投与や胸腹水ドレナージを行ったが,嚥下障害に始まり筋硬直による上肢の運動障害や歩行障害が急速に進行し,脳神経内科にて傍腫瘍性SPSと診断された.ジアゼパム投与で若干効果が認められたが,傾眠となり投与量調整に難渋した.