著者
高田 瞬 馬場 洋一 岡元 満 柿澤 広美 伊藤 武
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-44, 2017-03-30 (Released:2017-04-10)
参考文献数
15

筆者らは多数の食品従事者の糞便を対象に生物発光酵素免疫法(BLEIA法)に基づく高感度な全自動免疫測定システムと遺伝子検査法(RT-PCR法)の感度,特異性,検出率について検討し,本システムの有効性を評価した.今回対象とした2,427例中ノロウイルスの陽性率はBLEIA法が7.3%,RT-PCR法が6.3%であった.BLEIA法はRT-PCR法に対して,相対感度95.4%,相対特異度98.7%,一致率98.4%であったことから遺伝子検査法と同等の性能を有することが示唆された.BLEIA法は遺伝子検査法と比べて操作性と検査時間を大きく改善する方法であり,1検体あたり46 minでの迅速な測定ができ,処理能力は1 hrあたり120検体を可能としている.高いスクリーニング性能を有していることから,食品従事者の定期検査等の大量の検査に導入して,コスト,時間の削減につながることが期待できる.
著者
西村 直行 高岡 直子 馬場 洋一 林田 瑞穗 伊藤 武
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.741-748, 2012-11-20 (Released:2014-10-06)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

混合糞便検体からの直接PCR で食中毒3 菌種(ベロ毒素産生菌,サルモネラ属菌,赤痢菌)の同時検出を試みた.蒸留水で約2.5%の濃度に調製した検便懸濁液を95℃5 分間熱処理した後の遠心上清5μLを45μL のPCR master mixture に添加してPCR を実施し,MCA(Melting Curve Analysis)で検出した.その結果,50 混合糞便検体に混入させた1 つの食中毒菌陽性糞便を個別培養法と同等の検出感度で検出することができた.本方法は大量の糞便検体から迅速,確実,さらに感度良く腸管系病原菌検出が行える方法であるので,食品取り扱い従事者からの検便検査など一度に大量の検体を処理しなければならない検査においては極めて有用な方法と考えられた.