著者
渡邉 治雄
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.107-113, 2016-09-30 (Released:2017-01-20)
参考文献数
4

近年,食中毒の報告件数が減ってきている.しかし,腸管出血性大腸菌やカンピロバクターを例にとると,現在のシステムで報告されている数が氷山の一角であることがわかる.実数を把握するサーベイランスシステムの再考が必要であろう.腸管出血性大腸菌感染症等に関して,食中毒を減らすための種々の対策がとられてきているが,その効果が一時的である場合がある.厚労省および農林省等の連携に基づく持続的効果が見られるような根本的対策に向けての対応が望まれる.
著者
村上 和保 藤井 沙織 杉山 治代 多田 理恵 玉川 淳子
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.208-211, 2009-12-31 (Released:2010-07-15)
参考文献数
12
被引用文献数
2

手指衛生管理において,消毒が適正であるかどうかは非常に重要な事項である.本研究では,手洗い時のエタノール消毒効果をより確実に発現させる条件はいかなるものかを中心に検討した.石けんで手洗いを行い,ペーパータオルで水分をふき取った後には手洗い前に比べて手指の細菌数は減少したが,除菌効果は十分とはいえなかった.これにつづいてエタノール消毒(両手掌に噴霧し,擦り合わせながら乾燥)をした場合,80%, 99.5% エタノールでは十分な消毒効果がみられたが,70% では効果が発現しなかった.一方,手洗い後に手指を十分に風乾してエタノール消毒をすると,いずれの濃度でも十分な効果が認められた.そして,これらの条件での手洗い前後の手指水分量を調べてみると,手洗い後にペーパータオルでふき取った場合,手洗い前よりも水分量が依然として高かったのに対し,十分に風乾した場合,手洗い前とほぼ同等になった.以上から,エタノールによる手指消毒では手指を十分乾燥させることが極めて重要で,使用するエタノール濃度は 80% 以上が望ましい.
著者
青木 佳代 石川 和彦 林 賢一 斉藤 守弘 小西 良子 渡辺 麻衣子 鎌田 洋一
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.28-32, 2013-03-31 (Released:2013-09-07)
参考文献数
15
被引用文献数
4 4

A case of the suspected food poisoning related to deer meat occurred in December, 2011 in Shiga prefecture in Japan. Four of 18 people showed transient diarrhea, abdominal pain, nausea, and vomiting within 5 to 16 hr after eating. No typical food poisonous bacteria and viruses were detected in the food samples. Parasitological tests were performed on the deer meat, and the Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan for horsemeat food poisoning were officially notified. A 1,100-bp DNA fragment was amplified by PCR from three slices of the deer meat, suggesting the presence of Sarcocystis sp. Cysts and bradyzoites were detected in the specimens of the deer meat. Immunohistochemical staining of the cysts detected in the deer meat with an antibody against the toxic 15 kDa protein of S. fayeri showed a positive reaction. This indicated that a similar toxic protein originating from Sarcocystis cysts was present in the deer meat. This suggested that the deer meat containing Sarcocystis cysts was the causative food in these cases of food poisoning.
著者
鎌田 洋一
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.47-52, 2012-03-30 (Released:2012-08-23)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
鈴木 淳
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.64-67, 2010-07-31 (Released:2010-12-13)
参考文献数
11
著者
石川 森夫
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.49-59, 2009-07-31 (Released:2009-08-27)
参考文献数
50
被引用文献数
2 1
著者
山本 徳栄
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-12, 2014-03-31 (Released:2014-08-13)
参考文献数
104
被引用文献数
1 1
著者
朝倉 宏 山本 詩織 橘 理人 吉村 昌徳 山本 茂貴 五十君 靜信
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.159-166, 2015-09-30 (Released:2015-10-24)
参考文献数
23
被引用文献数
5 1

鶏肉におけるカンピロバクター・ジェジュニ/コリ汚染を流通段階で制御するための一手法として,冷凍処理の有効性を検証した.NCTC11168および81–176株を用いた添加回収試験の結果,鶏挽肉における生存性は,-20℃での2週間の冷凍処理により,最大で約1.9–2.3対数個の減少を認めた.40%の自然汚染率をあらわす鶏挽肉を同上温度での冷凍処理に供したところ,汚染率は1日後には半減し,一週間後にはさらにおよそ半減した.急速冷凍処理(Crust freezing)を行った食鳥部分肉(ムネ・ササミ・レバー・砂肝)は,チルド処理群に比べて,相対的に低いカンピロバクター汚染菌数を示した.しかし,モモ肉ではその差異は認められなかった.輸入冷凍鶏肉の本菌汚染率は,2.2%(1/45検体)と,国産チルド鶏肉検体の陽性率(26.7%, 12/45検体)に比べて顕著に低い値を示した.以上の成績より,冷凍処理は,鶏肉におけるカンピロバクター汚染を低減する一手法であることが示された.
著者
下島 優香子 井田 美樹 西野 由香里 石塚 理恵 黒田 寿美代 仲真 晶子 平井 昭彦 貞升 健志 甲斐 明美
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.209-214, 2015-12-30 (Released:2016-01-08)
参考文献数
28

2010~2013年に都内の食肉処理場および小売店で購入した牛内臓肉104検体について,糞便系大腸菌群,VTEC,C. jejuni,C. coli,SalmonellaおよびL. monocytogenesの調査を行った.その結果,糞便系大腸菌群は, 85検体(81.7%)が陽性であった.VTECは25検体(24.0%)から31株検出された.そのうち1検体は糞便系大腸菌群陰性であった.血清群O157は 17検体(18株),O26が1検体(1株),O103が1検体(1株),その他の血清群(O1,O28,O91,O153,OUT)が7検体(11株)から検出された.付着遺伝子保有状況を調べた結果,eaeは血清群O157,O26,O103の20株が陽性,saaは血清群O28,O153,OUTの5株が陽性であった.aggRはすべての株が陰性であった.C. jejuniは42検体(40.4%)から50株,C. coliは16検体(15.4%)から16株が検出された.Salmonellaは4検体(3.8%)から5株検出され,血清群はO4群が4株(いずれも血清型Derby),O3, 10群が1株(血清型Amsterdam)であった.L. monocytogenesは22検体(21.2%)が陽性であった.以上の結果から,牛内臓肉は腸管出血性大腸菌を含む食中毒菌に高率に汚染されていることが明らかとなった.
著者
浅尾 努
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.83-88, 2013-06-30 (Released:2014-01-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1
著者
諸角 聖 和宇慶 朝昭 一言 広 小原 哲二郎
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
食品と微生物 (ISSN:09108637)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.80-87, 1985-08-20 (Released:2010-07-12)
参考文献数
23

生および焙煎コーヒー豆におけるカビの増殖および毒素産生の相違がいかなる原因によるものかを明らかにする目的で, コーヒー豆成分のカビに及ぼす影響を検討し, 以下の結論を得た.1) 蒸留水またはYES培地を用いて水分含量を50%に調整した生および焙煎コーヒー豆粉末にA. flavus, A. ochraeusなど6種のカビを接種し, 発育と毒素産生の有無を調べた. その結果, 生豆粉末においては全菌種が発育し, ochratoxin A産生もみられたのに対し, 焙煎豆粉末においてはYES培地を添加した条件でA. ochraceusの発育が認められたのみで, 他の菌の発育は全くみられなかった.2) 焙煎コーヒー豆成分中には抗カビ物質の存在が示唆されたため, その単離を試み, 活性物質本体としてカフェインを得た.3) カフェインはA. flavusおよびA. versicolorの発育をいずれも2.5mg/mlで, P. glabrumおよびC. cladosporioidesの発育を5.0mg/mlで, F. solaniの発育を10mg/mlで完全に阻止したのに対し, A. ochraceusの発育は10mg/mlの濃度においても阻止しなかった. また, カフェインは生豆中にも存在することから, そのカフェインを単離し焙煎豆由来カフェインと抗菌活性を比較したところ, 両者の活性に差は認められなかった.4) 生および焙煎豆からの温湯抽出画分についてカフェイン含有量および抗菌活性をそれぞれ比較した. その結果, 両画分中のカフェイン含有量に差が認められなかったにもかかわらず, 抗菌作用は焙煎豆由来画分のみに認められ, 生豆由来画分には全くみられなかった.5) この結果から, 生豆由来温湯抽出画分中にカフェインの抗菌作用を不活化する物質の存在が疑がわれたため, その物質の単離を試み, 最終的にクロロゲン酸を得た.6) クロロゲン酸はカフェイン2.5mgに対して15mg, 5.0mgに対して30mgと, カフェインの3倍のモル量で最も顕著にカフェインの抗菌作用を不活化した. このクロロゲン酸は生豆中でカフェインと複合体を形成して存在し, 焙煎によりその含有量が半減することから, カビが生豆において発育可能であるのに対して焙煎豆で発育できない理由が, 主として両者におけるクロロゲン酸含有量の差であることが明らかとなった.