著者
高山 侑樹 稲益 和子 横山 あゆ美 西田 淑男 古市 幸生
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.483-488, 2010-11-15
被引用文献数
2

本研究では,ニガイチゴ果実の成分組成および機能性について検討した.ニガイチゴはラズベリー,イチゴ(トチオトメ)と比較し,ビタミンC含量が少ない果実であった.総ポリフェノール含有量は,ニガイチゴ,ラズベリー,イチゴ(トチオトメ,サガホノカ,アキヒメ)がそれぞれ179.8, 108.7, 108.5, 94.8, 65.6mg/100gであり,イチゴの品種間で差が見られたが,ニガイチゴが最も高い値を示した.また,DPPHラジカル消去活性のIC<SUB>50</SUB>は,ニガイチゴが1.50,ラズベリーが2.31,トチオトメ,サガホノカ,アキヒメがそれぞれ2.32, 3.00, 4.25mg/mlであった.マルターゼ阻害では,予め吸着させたHP-20樹脂より40%エタノールで溶出した画分(40% EtEx)で最も強い作用を示した.正常ラットでのマルトース負荷試験でも,40% EtExを与えた群で血糖上昇が抑制された.これらのことから,ニガイチゴは抗酸化能が強く,血糖上昇抑制に有効な素材であることが示唆された.