著者
益崎 裕章 高山 千利 島袋 充生 松下 正之 小塚 智沙代
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

慢性的な高脂肪餌の摂取が食欲中枢の視床下部において小胞体ストレスを亢進させることにより、高脂肪餌への嗜好性をさらに高める悪循環の分子機構をマウス病態モデルで明らかにした。玄米含有餌を与えたマウスの解析から、玄米に特異的かつ高濃度に含有される生理活性物質、γオリザノールが経口摂取後、脳に移行し、小胞体ストレスを軽減する分子シャペロンとして機能することが明らかとなった。γオリザノールは高脂肪食によって糖尿病を来したマウスの膵島(インスリン分泌細胞)における小胞体ストレスの亢進を緩和し、β細胞の保護と機能回復に貢献することも明らかとなり、天然食品由来成分を活用する新たな医学応用の基盤が確立出来た。
著者
高山 千利
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

坐骨神経痛などの神経障害性疼痛は、罹患率が高く難治性であることから、世界的健康問題であり、有効な治療法の開発が待たれている。治療法開発の突破口の1つとして、γアミノ酪酸(GABA)の機能異常を介する痛みの発生機序を明らかにし、その治療法に迫ることを目的として研究を行った。その結果、疼痛モデルマウス、遺伝子改変マウスにおいて、ミクログリアの活性化が持続し、K, Cl共輸送体(KCC2)の発現量が減少したままの状態が続くため、GABAによる抑制力が低下しており、この抑制力の低下が痛みの持続を生み出していることが明らかになった。
著者
屋比久 浩市 益崎 裕章 高山 千利 島袋 充生 幸喜 毅
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

若齢期における人工甘味料摂取が、視床下部小胞体(ER)ストレスを介して、成獣期の肥満感受性(レプチン抵抗性)を高める可能性が示唆された。分子シャペロンを人工甘味料と共投与することで、視床下部 ER ストレスが低下し、さらに成獣期以降、高脂肪食に対する嗜好性をも軽減することが確認された。 マウスの embryo から摘出した全脳の primary culture においては、人工甘味料が ER ストレス関連遺伝子の発現をかなり亢進させた。これは人工甘味料が視床下部 ER ストレスにダイレクトに寄与することを示唆する所見である。