著者
益崎 裕章 小塚 智沙代 屋比久 浩市
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.665-674, 2012 (Released:2012-11-13)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

世界に冠たる長寿の島,沖縄が日本屈指の肥満県,糖尿病県に転じ,平均寿命の凋落が続いている(沖縄危機).軽度肥満の段階から糖尿病発症リスクは7倍に上昇することが知られており,過剰な脂肪組織の前には生活習慣の地道な改善努力も虚しいものとなる.人類が誕生してから今日までの歴史を1年に置き換えたカレンダーの中で “飽食の時代” は最近のわずか3分間の出来事である.人類の祖先は繰り返す寒冷と飢餓,旱魃を生き抜くため栄養や塩分が得られるときに蓄えて逃さない仕組みを構築してきた.生命の知恵の結晶ともいえる省エネ・倹約体質が,今日の飽食・高塩分・運動不足・ストレス社会でメタボリックシンドローム急増の基盤となっている.
著者
屋比久 浩市 益崎 裕章 高山 千利 島袋 充生 幸喜 毅
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

若齢期における人工甘味料摂取が、視床下部小胞体(ER)ストレスを介して、成獣期の肥満感受性(レプチン抵抗性)を高める可能性が示唆された。分子シャペロンを人工甘味料と共投与することで、視床下部 ER ストレスが低下し、さらに成獣期以降、高脂肪食に対する嗜好性をも軽減することが確認された。 マウスの embryo から摘出した全脳の primary culture においては、人工甘味料が ER ストレス関連遺伝子の発現をかなり亢進させた。これは人工甘味料が視床下部 ER ストレスにダイレクトに寄与することを示唆する所見である。
著者
益崎 裕章 屋比久 浩市 山川 研
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.1027-1033, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
8

高尿酸血症は痛風関節症,痛風結節,尿路結石症,痛風腎に代表される尿酸塩沈着症を引き起こす.一方,肥満症・メタボリックシンドロームには無症候性高尿酸血症が高頻度に随伴する.痛風発作,関節炎予防のための尿酸値管理という従来の枠組みを超えて,生活習慣病・慢性腎臓病に伴う高尿酸血症が心血管疾患や脳卒中などの血管イベントのリスクを増大させ,脂肪組織や血管の組織機能障害を誘導する可能性が注目されている.