著者
須貝 哲郎 東 順子 高木 喬 庄司 昭伸
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.288-293, 1974

貼布試験は接触皮膚炎であることが明らかな患者に限らず, 慢性湿疹患者にも試みるべきである。貨幣状湿疹様皮疹を有する5例で, クローム感作によることが判明し, 以後の管理に成功しえた。また, 機械油皮膚炎のうち, 5例にCr<SUP>+6</SUP>貼布試験陽性をみ, 機械油, カッチング油および流動パラフィン中へのCr<SUP>+6</SUP>混入の可能性が示唆されたが, 発光分光分析で全検体にCrを認めず, 共通して検出されたのはCuとSiとであった。昭和47年における当科接触皮膚炎患者502例中, 医原性のものは122例で, その頻度は24.3%であった。医原性接触皮膚炎患者における貼布試験の陽性頻度では, 水銀系薬剤がもっとも多く, ついで, hexachlorophene, ラノヒドロ級還元ラノリン, 抗白癬剤, deodrant系殺菌剤, ラノリン, chloramphenicolおよびdiphenhydramineの順であった。