著者
須貝 哲郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.310-317, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

酢酸デキサメタゾン0.025%を主薬とするS-3470軟膏 (シオノギD軟膏®) の治験をアトピー性皮膚炎13例を含む湿疹皮膚炎群26例と虫刺症20例の計46例において試み, 全例に副作用を認めず, 前者で92.3%, 後者で90.0%の高い有用率をえた。
著者
長野 拓三 渡辺 加代子 須貝 哲郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.544-547, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3
被引用文献数
1

手の湿疹様病変を主訴として来院した患者3人に, 生のエビの接触により蕁麻疹反応が生じることを確認した。その3人の内, 2人は生のエビの甲殻に接触することにより蕁麻疹反応が生じたが, 残りの1人は生のエビのすり身に反応を示した。鳥居製アレルゲン・エッキス・エビの皮内テストでは陰性であったが, 生のエビの抽出液による皮内テストでは陽性反応を示し, 1例のみにRAST法で生のエビの甲殻に対するレアギンが存在することを確認した。
著者
西井 貴美子 須貝 哲郎 赤井 育子 田水 智子 吉田 慶子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.143-147, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

33歳, 女性。約3週間前に化粧品を変更し, 2日目頃から顔面に療痒性皮疹を認めたため来院した。初診時, 顔面に一部落屑を伴う療痒性紅斑を認めた。パッチテストで使用していたフェイスパウダーとパフに陽性, 成分パッチテストでオクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム, ムクロジエキスに陽性であった。ムクロジは果皮, 花に薬用部分のある植物である。近年, 無添加, 植物成分配合というキャッチフレーズの製品を多く見かけるが, 漢方薬, 食品に含まれている植物も多く注意が必要である。
著者
須貝 哲郎 山本 幸代 渡辺 加代子 麻生 五月
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.421-430, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
21
被引用文献数
1

1974年から1979年にわたる6年間に施行した香料系パッチテストの結果を総括して報告する。対象は化粧品皮膚炎, 顔頸部の炎症後色素沈着症患者1, 325例である。当科常備の香料アレルゲンのうち27種をcomputer FACOM 230-28に登録し, 6年間の蓄積データからその陽性頻度を算出した。登録香料の内訳は天然香料9, 単離香料11, 香料成分ミックス1, 調合香料6である。陽性率の首位はICDRGの香料成分ミックスで06% (6/91), イランイラン油6.1% (51/833), benzyl galicylate6.0% (43/713), 調合香料ミックス義7% (19/336) の順であった。使用量のもっとも多いといわれるchemodermは11位で3.2% (10/314) の陽性率を示した。
著者
須貝 哲郎 東 順子 高木 喬 庄司 昭伸
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.288-293, 1974

貼布試験は接触皮膚炎であることが明らかな患者に限らず, 慢性湿疹患者にも試みるべきである。貨幣状湿疹様皮疹を有する5例で, クローム感作によることが判明し, 以後の管理に成功しえた。また, 機械油皮膚炎のうち, 5例にCr<SUP>+6</SUP>貼布試験陽性をみ, 機械油, カッチング油および流動パラフィン中へのCr<SUP>+6</SUP>混入の可能性が示唆されたが, 発光分光分析で全検体にCrを認めず, 共通して検出されたのはCuとSiとであった。昭和47年における当科接触皮膚炎患者502例中, 医原性のものは122例で, その頻度は24.3%であった。医原性接触皮膚炎患者における貼布試験の陽性頻度では, 水銀系薬剤がもっとも多く, ついで, hexachlorophene, ラノヒドロ級還元ラノリン, 抗白癬剤, deodrant系殺菌剤, ラノリン, chloramphenicolおよびdiphenhydramineの順であった。
著者
須貝 哲郎 村上 憲一郎 東 順子 長野 拓三 鈴木 伸典 前田 基彰 佐々木 幸恵 庄司 昭伸 橋本 陽子 麻生 五月 渡辺 加代子 濱田 稔夫 加藤 晴久 染田 幸子 安野 洋一 東 禹彦 長濱 萬藏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.446-460, 1990

各10%にグリセリンおよびクロタミトンを含有する0/W型クリーム (AG-1クリーム) の乾燥性皮膚疾患に対する一般臨床試験を11施設からなる研究班を組織して, 1988年11月より1989年3月までの5カ月間にわたり実施した。外用4週後の最終全般的改善度は90.5%(124/137例), 副作用発現率は1.3%(2/154例), 有効性と安全性を考慮した有用以上の有用率は88.2%(134/152例) であった。以上の結果からAG-1クリームは乾燥性皮膚疾患に対し, 極めて有用な外用剤であることが確認された。
著者
山本 幸代 須貝 哲郎 麻生 五月 渡辺 加代子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.405-412, 1982 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

ビタミンEとビタミンCの合剤であるユベラC顆粒 (エーザイK.K.) の色素沈着に対する治療効果を評価するとともに, 不定愁訴に対する改善効果をも検討した。対象は肝斑53例, 炎症後色素沈着36例の計89例で, 年令21才から59才にわたる女性のみである。ユベラC3gを分三毎食後6カ月間服用, 他の薬剤は内服外用とも一切行なわなかった。ユベラCを6カ月間完全に服用したのは肝斑26例 (49.1%), 炎症後色素沈着15例 (41.7%) で, 色素沈着の軽減については, 肝斑群で有効19.2%, やや有効23.0%, 炎症後色素沈着群では有効40.0%, やや有効6.7%であった。不定愁訴改善については, 肝斑群で有効56.5%, やや有効13.0%, 炎症後色素沈着群で有効42.9%, やや有効21.4%であった。患者評価では, 肝斑群で有効53.8%, やや有効30.8%, 炎症後色素沈着群で有効53.3%, やや有効40.0%と有効率がさらに高くなっていた。なお, 副作用は全例に認めなかった。
著者
山本 幸代 須貝 哲郎 奥野 富起子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.305-308, 1979

リール黒皮症40例, うち原因不明5例と肝斑およびその他の顔面色素沈着症34例の計74例を対象としてY-Gテストを施行した。原因の判明したリール黒皮症群は安定積極型が多く, また比較的心配症でも神経質でもないためかえって, 顔面が黒くなるまで放置した無神経さがあるといえる。対照群はむしろ性格的に問題が多かったが, これはわれわれの外来での印象とよく一致していた。例数は少ないが原因不明の黒皮症患者の性格がやや特異的であった。
著者
加藤 順子 須貝 哲郎 庄司 昭伸 中西 健史 桑野 敦子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.115-124, 1994 (Released:2010-08-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2

1982から91年までの当科におけるラノリンパッチテストの結果をまとめた。平均陽性率は単純ラノリンが0.6%, 還元ラノリンが1.7%, ウールアルコールが2.0%で, 1974から1976年と比較して前2者が減少していた。ウールアルコールの陽性者は, 20から50歳台に分布し, 男性に多いか男女同じだった。還元ラノリンとウールアルコールは過半数が単独陽性だった。ラノリン皮膚炎の原因物質は22.4%が医薬外用剤で大多数は不明である。基礎疾患にアトピー性皮膚炎26.8%と下腿潰瘍9.4%がある。ラノリン陽性者のうち80.5%が多感作例でそのうち41.6%が香料アレルゲンに陽性であった。アセチル化ラノリンとイソプロピルラノリンの陽性は11.3%と7.9%で, 刺激反応も考えられた。
著者
山本 幸代 須貝 哲郎 麻生 五月
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.571-577, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8

アミノグリコシド系のゲンタマイシンとフラジオマイシン (ネオマイシン) は繁用されている。最近5年間の本院のパッチテストはゲンタマイシン10. 4%(47/450), フラジオマイシン5. 0%(79/1577) の陽性率を示した。ここ3年間に両方に感作を示した患者について交叉反応か共感作かを推論した。
著者
須貝 哲郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.216-225, 1976 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6

日本レダリー社提供の新基剤アクアティンベースを用いたレダコートクリーム新基剤について, 基剤の皮膚安全性を接触過敏症患者と思われた22例について検討し, ほぼ満足すべき結果をえた. また, 乾癬皮疹上のパッチテストで同種市販製剤と皮疹の改善効果を検討し, レダコートクリーム新基剤が旧基剤より効果が優り, 1級選択剤にランクされることを確認した. 偏光顕微鏡所見から, 密封チューブに充填する必要性をみとめた.
著者
須貝 哲郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.496-502, 1992

ハーブ保湿浴剤 (オードレマン) とその関連試料2種およびボディシャンプー (オードレマン) とその関連試料2種の計6試料の皮膚安全性を比較検討するために, 正常成人30名 (男女各15名) における予知パッチテストを, 各製剤ともas is, 10倍および100倍水溶液の3段階濃度で実施した。保湿浴剤は100倍の水溶液では皮膚刺激指数3.3以下で3種すべて安全品と判定した。皮膚刺激性は高い方からオードレマン<SUP>®</SUP>, シャンラブ<SUP>®</SUP>およびクアタイム<SUP>®</SUP>の順であった。ボディシャンプーも100倍水溶液では3.3以下ですべて安全品と判定した。皮膚刺激性は高い方からシャワーソープ<SUP>®</SUP>, ビオレU<SUP>®</SUP>およびオードレマン<SUP>®</SUP>の順であった。なお, アモニックスおよびローリル酸ジエタノールアミドに接触アレルギーを有する1例は各ボディシャンプーにアレルギー反応を疑わせる反応を呈した。
著者
奥野 冨起子 須貝 哲郎 山本 幸代
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.902-907, 1984

アイメイクアップは最近10年間で一般化して来た化粧品である。我々はこれらによる接触皮膚炎5例を経験した。そのうち原因が確認できたものは2例で, ともに使用調合香料であった。<BR>最近3年間の持参化粧品の統計をとり, アイメックアップと他の持参化粧品の比較検討をした。アイライナーはアレルギー反応陽性率が高く3.4%であった。また眉墨, マスカラは刺激指数が最も高く, 12.5と12.9を示した。なおアイメイクアップで夏用の速乾性のものには, 揮発性のアイソバー (イソパラフィン) が20~60%含まれている。本物質は強刺激物質で, アイソバー含有製剤の密封パッチテストは禁忌である。
著者
麻生 五月 須貝 哲郎 山本 幸代
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.937-944, 1984

当科におけるパッチテスト成績はコンピューター登録アレルゲンについて陽性頻度順に毎年outputしている。1982年9月~1983年8月末までの1年間で, 香粧品成分はICDRG香料ミックス11.9% (44/371), jasmine absolute 6.9% (15/218), oak moss 5.6% (6/107), lavender absolute 4.3% (9/209) およびoil of ylang ylang 3.7% (8/215) が上位5位を占め, cinnamic aldehydeが0.0% (0/214) と著減したのが注目される。持参化粧品ではアイライナー8.7% (2/23), クレジングクリーム6.1% (6/98), 口紅4.7% (14/295), 下地クリーム4.3% (5/117) および洗顔クリーム4.7% (3/72) が上位5位をしめた。最後に代表症例3例を詳述した。