著者
田中 歓子 園田 優子 津田 道夫 谷村 保夫 遠藤 秀彦 相模 成一郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.84-92, 1982 (Released:2010-06-04)
参考文献数
12

トプシムスプレーの有用性を検討する目的で尋常性乾癬, 湿疹・皮膚炎群など34例につきフルコートスプレーを対照とする二重盲検試験を行なった.その結果, 治療前と比較した全般改善度では治療1週後で, 各評価日における薬剤間の優劣比較では治療1週後および2週後で, また有用性の評価でも両剤間に有意差が認められいずれもトプシムスプレーがフルコートスプレーに比し優れていた. この事から, トプシムスプレーは有効性および有用性がフルコートスプレーより優れ, その治療効果の発現は速やかで広範囲の皮疹や被髪部位の病巣の治療に適した薬剤と考えられた.
著者
水越 直子 佐藤 健二
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.1166-1171, 1985

大阪大学医学部附属病院皮膚科外来初診患者台帳と外来カルテをもとに, ステロイド皮膚炎とステロイド座瘡について昭和55年から59年まで経時的に調べた。両疾患の合計患者数は順に30, 26, 31, 30, 45人であり, 近年両疾患が減少しているとは言えず, 逆に, 昭和59年ではその前4年間の約1.5倍であった。原因薬剤として, 最近新たに発売された外用剤による発症の比率が増加傾向にあった。これらのことは副腎皮質ステロイドホルモン含有外用剤による副作用を減少させる対策を立てる必要のあることを示唆しており我々は一つの提案を行った。対照として調べた尋常性座瘡の有病年令は50才代に及んでいた。
著者
笹井 収 大越 賢一郎 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.460-463, 2000

敏感肌用化粧品として開発されたスキンケア製品3種について, その安全性を確認するために, 乾皮症患者, 接触皮膚炎の既往をもつ者, アトピ-性皮膚炎患者, 光線過敏症患者の計67例を対象としたパッチテストを施行した。<BR>試験試料は, 美白美容液 (ノブホワイトニングエッセンスN), 保湿美容液 (ノブモイスチュアコンセントレイトN), 保湿パック (ノブモイスチュアパックN) の計3製品で, すべてasisにて, また対照として白色ワセリンおよび蒸留水を用いた。本邦基準に基づいて判定し, 須貝らの方法によって皮膚刺激指数を算出した結果, それぞれ, 8.2, 8.2, 3.7, 0.7, 2.2という値であり, 化粧品として本試験試料の安全性が確認された。
著者
岡田 富雄 浅井 淳平 飯島 宗一 早川 律子 田中 隆義 大橋 勝
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.378-382, 1980 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

飽和炭化水素であるスクワランに長期紫外線照射すると, 経時的にTBA値が上昇し, その紫外線照射スクワランをモルモットの皮膚に繰り返し塗布すると明らかな紅斑が生じ, 血管透過性が亢進した。組織学的には, 表皮におけるacanthosig, hyperkeratosis, 基底細胞層の一部に空胞変性, exocytosisが見られ, 真皮上層では好中球を主体とした細胞浸潤と中等度の血管拡張がみられた。超微形態学的には, 表皮基底細胞においてミトコンドリアの膨化, 拡大した細胞間隙に細胞成分の残渣が浮遊している像がみられた。また, この紫外線照射スクワランをGLC, TLCを用いて分析した結果, 紫外線照射によって新たに生じた二次産物は過酸化物であることが確認された。
著者
角田 孝彦 山本 雅章 三橋 善比古 野村 和夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.81-86, 1981 (Released:2010-06-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1

青森県のシソ栽培農民において手指を中心とする皮膚炎を経験し, 患者6例, 対照10例にシソの葉とその抽出液, 使用農薬, 無農薬の葉などのパッチテストを施行した。患者では, 農薬使用のシソの葉で6例中5例陽性, シソの葉のアルコール抽出液は6例全て陰性, 使用農薬では被検5例全て陽性, 無農薬のシソの葉とアオジソの葉は被検5例全例陰性であった。今回の皮膚炎の原因は, 葉に残留した農薬の可能性が最も高いと推定した。
著者
須貝 哲郎 東 順子 高木 喬 庄司 昭伸
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.288-293, 1974

貼布試験は接触皮膚炎であることが明らかな患者に限らず, 慢性湿疹患者にも試みるべきである。貨幣状湿疹様皮疹を有する5例で, クローム感作によることが判明し, 以後の管理に成功しえた。また, 機械油皮膚炎のうち, 5例にCr<SUP>+6</SUP>貼布試験陽性をみ, 機械油, カッチング油および流動パラフィン中へのCr<SUP>+6</SUP>混入の可能性が示唆されたが, 発光分光分析で全検体にCrを認めず, 共通して検出されたのはCuとSiとであった。昭和47年における当科接触皮膚炎患者502例中, 医原性のものは122例で, その頻度は24.3%であった。医原性接触皮膚炎患者における貼布試験の陽性頻度では, 水銀系薬剤がもっとも多く, ついで, hexachlorophene, ラノヒドロ級還元ラノリン, 抗白癬剤, deodrant系殺菌剤, ラノリン, chloramphenicolおよびdiphenhydramineの順であった。
著者
駒村 公美 吉川 邦彦 東 禹彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.101-104, 1997

敏感肌用化粧品として開発された化粧品について, 接触皮膚炎患者58例 (内アトピー性皮膚炎を合併した患者12例), アトピー性皮膚炎患者15例 (内接触皮膚炎を合併した患者12例) の計61例を対象として, 2施設でパッチテストを施行した。使用した試料は, 美白美容液 (ホワイトニングエッセンス), 保湿美容液 (モイスチュアコンセントレイト), 保湿パック (モイスチュアパック) の計3種で, すべてasisで, 対照として白色ワセリンおよび蒸留水を用いた。皮膚刺激指数は, 2.5から4.1であった。疾患別では, 接触皮膚炎群の, 保湿美容液の皮膚刺激指数4.3が最も高かった。
著者
斎藤 文雄 松岡 芳隆
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.578-584, 1985

主抗原としてalkane-α, β-diols, alkane-α, diolsを含有する水添 (還元) ラノリン (HL) 過敏者はエタノール, メタノール, 2-プロパノールと高率に交差することを既に報告した。エタノール接触アレルギーの17例を経験し, アルコール類, ラノリン誘導体間の交差感作について検索した。エタノール過敏者の主要原因物質は化粧水 (7例), アルコール飲料 (4例), 化粧水とアルコール飲料1例, 抗真菌剤2例, 抗化膿剤2例, 制汗剤, 防臭剤各1例であった。エタノール過敏者17例中9例はメタノールに, 6例は2-プロパノール, 5例はHL, ウールアルコール (WA) に, 2例はラノリンにそれぞれ交差反応を示した。化粧水, エタノール, アルコール飲料過敏者においてアルコール類とラノリン誘導体間の交差感作を調べた。1例はn-ブチルアルコール, n-アミルアルコール, HL, WAに, 他の1例はシンナミックアルコール, シンナミックアルデハイド, ラノリン, HL, WAにそれぞれ交差反応を示した。また2例はアルコール飲料の摂取により汎発性の発疹を生じた。
著者
櫻根 純子 福原 佐保 佐野 榮紀 田所 丈嗣 浅田 秀夫 板見 智 吉川 邦彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.162-166, 2000

原発性肢端紅痛症の27歳と6歳の母娘例を報告した。母娘共に幼少時より両足から下腿にかけて潮紅, 灼熱感, 疼痛を認め, 成長につれて症状は増悪した。持続性疼痛に対し消炎鎮痛剤等の投与は無効であったが, 冷水浸漬によりわずかに緩和された。なお母の姉にも同症を認めた。この3例はいずれも血液疾患などの基礎疾患は認めなかった。以上より家族性原発性肢端紅痛症と診断した。母娘ともにserotoninreuptake inhibitorである塩酸クロミプラミンを投与し, いずれも症状の著明な軽減を認めた。
著者
松永 佳世子 矢崎 喜朔 上田 宏 早川 律子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.269-275, 1979 (Released:2010-06-04)
参考文献数
11

口唇にのみ乾燥落屑及び暗紫色の色素沈着をきたした37才主婦例につき, 使用化粧品, タール色素, 1-phenyhzo-2-naphthol, 使用口紅の各成分, 使用可能な化粧品を選定するためのパッチテストなど, 計5回にわたるパッチテストを施行した。原因としてR-219の不純物である1-phenylazo-2-naphtholであることを確認した。又, 使用口紅, 同製品に使用されたR-219及び1-phenylazo-2-naphtholのパッチテスト部位を2週後に生検し, 著明な真皮上層の小円形細胞の浸潤, 基底層の液状変性, 及びincontinentia pigmenti histologicaを認めた。以上より本症例を使用口紅に含有されたR-219の不純物である1-phenylazo-2-naphtholによる黒皮症型の色素沈着例であると考えた。
著者
須貝 哲郎 村上 憲一郎 東 順子 長野 拓三 鈴木 伸典 前田 基彰 佐々木 幸恵 庄司 昭伸 橋本 陽子 麻生 五月 渡辺 加代子 濱田 稔夫 加藤 晴久 染田 幸子 安野 洋一 東 禹彦 長濱 萬藏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.446-460, 1990

各10%にグリセリンおよびクロタミトンを含有する0/W型クリーム (AG-1クリーム) の乾燥性皮膚疾患に対する一般臨床試験を11施設からなる研究班を組織して, 1988年11月より1989年3月までの5カ月間にわたり実施した。外用4週後の最終全般的改善度は90.5%(124/137例), 副作用発現率は1.3%(2/154例), 有効性と安全性を考慮した有用以上の有用率は88.2%(134/152例) であった。以上の結果からAG-1クリームは乾燥性皮膚疾患に対し, 極めて有用な外用剤であることが確認された。
著者
山本 幸代 須貝 哲郎 麻生 五月 渡辺 加代子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.405-412, 1982 (Released:2010-06-04)
参考文献数
7

ビタミンEとビタミンCの合剤であるユベラC顆粒 (エーザイK.K.) の色素沈着に対する治療効果を評価するとともに, 不定愁訴に対する改善効果をも検討した。対象は肝斑53例, 炎症後色素沈着36例の計89例で, 年令21才から59才にわたる女性のみである。ユベラC3gを分三毎食後6カ月間服用, 他の薬剤は内服外用とも一切行なわなかった。ユベラCを6カ月間完全に服用したのは肝斑26例 (49.1%), 炎症後色素沈着15例 (41.7%) で, 色素沈着の軽減については, 肝斑群で有効19.2%, やや有効23.0%, 炎症後色素沈着群では有効40.0%, やや有効6.7%であった。不定愁訴改善については, 肝斑群で有効56.5%, やや有効13.0%, 炎症後色素沈着群で有効42.9%, やや有効21.4%であった。患者評価では, 肝斑群で有効53.8%, やや有効30.8%, 炎症後色素沈着群で有効53.3%, やや有効40.0%と有効率がさらに高くなっていた。なお, 副作用は全例に認めなかった。