著者
大竹 千鶴 高木 正道 田口 洋 野田 忠
出版者
日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.37-44, 2003-03-25
参考文献数
32
被引用文献数
6

時代の移り変わりの中で,少しずつ変化している日本人の食事について,時代の変遷により,食生態が変化し,噛む回数や時間が変わることを,どこまで正確に検証できるのか,時代を反映する食事として学校給食をとりあげ,その復元食による咀嚼実験を試行し,咀嚼との関連について検討した.<BR>今回の実験では,現代の給食の方が昭和30年代および50年代より咀嚼回数も咀嚼時間も減少するという結果が出たが,これは時代の変化というより,選択した献立の差と考えられた.<BR>時代の変遷による食生態の変化を,代表的献立で実験する場合,日常の食をいくつかの献立で代表させるのは難しく,測定した咀嚼回数や咀嚼時間の比較で時代の変遷を論じることはさらに難しいと思われた.<BR>献立,素材,調理方法により,咀嚼回数も咀嚼時間も大きく変わるものと考えられ,学校給食だけでなく,普段の食生活においても,噛みこたえのある食品を使ったり,素材を大きく切って調理したりなど,さまざまな工夫をすることによって,食事がよりよいものとなると思われた.
著者
高木 正道 秋葉 直志 塩谷 尚志 栗原 英明 伊坪 喜八郎
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.620-624, 1996-07-15

呼吸困難をともなったmassive thymic hyperplasia(以後,MTH)の1手術例を報告する.症例は27歳の女性で,数年前より左前腕部痛を自覚していた.最近になり呼吸困難と動悸が出現するようになった.胸部単純X線写真で左肺門部に突出する異常陰影を認め,胸部CTで前縦隔に不整形で内部濃度均一な腫瘤性病変を認めた.1992年6月22日腫瘤摘出術を施行した.腫瘤の重さは115g, 大きさは15.0×12.0×2.5cmで表面は平滑で黄褐色,分葉状であった.病理組織検査の結果では正常な胸腺構造を持つtrue thymic hyperplasiaであった.術後に自覚症状の改善を認めた.過去に報告されたMTHは21例で,年齢分布は7ヵ月から21歳である.自験例は27歳と最年長である.自験例を含めた22例の中で55%が有症状であり,このうち胸腺摘出術により72%で症状の改善がみられている.