著者
高村 友美 宋 俊煥 岡松 道雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.806-813, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究は、愛媛県の全20市町を対象とし地域特性と移住支援施策を整理するとともに、近年の20市町の移住率との関係を明らかにすることで、地方移住への要因と課題を提示することを目的としている。まず、20市町における地域特性と移住率との相関関係(重回帰分析等)を分析した結果、少子高齢化の進行した地域かつ、医療・福祉の支援が受けやすい地域、第一次産業や公務といった第三次産業以外の産業が盛んな地域ほど移住率が高いことが明らかとなった。次に20市町の移住支援施策を指標化し、数量化Ⅲ類分析より4つの特性軸(I.第一次産業就業者の獲得性、II.定住促進性、III.情報の発信性、IV.地場産業促進性)を明らかにした。また、類型化を行い、各市町の地域特性と合わせた4グループの特性(GA:情報発信積極型【都市型】/GB:地場産業促進・第一次産業関連移住者獲得型【準農村型】/GC:若年層等移住者獲得中心型【農村型】/GD:大都市部移住者等定住促進型【準都市型】)を明らかにした。最後に各グループの高移住率の4事例を取り上げ、共通点として①農村的特性がみられる地域であることや②地域固有の特性を活かした施策が多く実施されていることを指摘している。