著者
湯淺 かさね 宋 俊煥 泉山 塁威 三浦 詩乃 村上 早紀子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.86, no.790, pp.2677-2688, 2021-12-01 (Released:2021-12-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 4

This study focused on changes in residents’ uses and awareness of outdoor spaces due to the spread of the COVID-19 pandemic. The aim of the study was to gain understanding of the following three aspects of people’s behaviors believed to have been greatly affected before the Emergency Declaration in Japan and during the State of Emergency: 1) changes in how people use outdoor spaces, and 2) people’s demands with respect to the use of outdoor spaces in the future. In addition, as a byproduct of this investigation, this study aims to produce a summary of findings concerning residents’ use of outdoor spaces against the backdrop of the ongoing COVID-19 pandemic as well as to discuss future issues. The survey method for this study was a national questionnaire, and responses were obtained from 1860 citizens. The details clarified as a result of analysis of the data generated by the survey are described below. First, the reality of residents’ use of outdoor spaces is summarized as follows. A large number of residents used outdoor spaces that were close to their homes (less than five minutes away on foot) on a daily basis or three or more times per week during the State of Emergency. A large number of residents made use of streets and areas adjacent to waterways or other waterfront areas as outdoor spaces during the State of Emergency period. Such use diverged from their use patterns prior to the Emergency Declaration, but these spaces were near residents’ homes. Residents used such spaces primarily for wellness and relaxation. Next, the survey revealed the following information describing residents’ perceptions of the use of outdoor spaces. Regarding the importance of outdoor spaces to respondents’ everyday lives, 80% or more of respondents who used outdoor spaces even during the State of Emergency reported such spaces to be “important.” In addition, 25% of respondents reported feeling that the use of outdoor spaces improved their quality of life during the State of Emergency, and this proportion far exceeded that of the respondents who reported “no change” or “I don’t feel any importance.” The characteristics of the respondents to this survey can be grouped into the following six categories: G1: People valuing their daily activities outside the home; G2: People valuing outdoor recreational activities; G3: People who primarily used nearby outdoor spaces before the Emergency Declaration; G4: People who rarely use outdoor spaces; G5: People who used outdoor spaces during the State of Emergency; and G6: People who rarely use outdoor spaces/people whose activities are primarily at home. Furthermore, under the influence of COVID-19, it became clear that an outdoor space that can be used as a part of daily life is required. In G1 and G2, there is a high need for various activities , and it can be said that the respondents are seeking an outdoor space as a place for their own activities. G3 seeks a place for work and social activities, and G5 seeks interaction, and has a need as a place for relationships with others. It is suggested that the need for an outdoor space that functions as a place to connect people and society has become apparent.
著者
宋 俊煥 山崎 嵩拓 泉山 塁威
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1289-1296, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
5 1

全国の都市公園が更新期を迎える中、人口減少等に伴う自治体の財政難が深刻化している。そのため、コストを抑えながら再整備・維持管理に取組むことが重要であり、近年では民間事業者の参入が積極的に進められている。特に2011年の都市再生特別措置法改正による「都市利便増進協定」、2017年の都市公園法改正による「公募設置管理制度(Park-PFI制度)」を通じ、民間事業者が収益施設の設置管理を通じてパークマネジメントに関与する事例の増加が想定される。そこで本研究では、「設置管理許可制度」を用いた都市公園内収益施設を対象とし、パークマネジメントにおける設置管理事業者の関与実態を明らかにすることを目的としている。各自治体へのアンケート・インタビュー調査を基に設置管理事業者の導入による公園維持管理負担の低減効果を整理した上で、公園のマネジメント体制を主体間所有関係(4パターン)、維持管理体制(7パターン)、利活用体制(7パターン)に整理した。更に指定管理者と連携団体の有無に応じて調査対象施設を分析した結果、4つの分類別にマネジメント体制が異なり、それにより求められる設置管理事業者の役割が変化することを明らかにした。
著者
山崎 嵩拓 宋 俊煥 泉山 塁威 横張 真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.136-143, 2019-10-25 (Released:2019-10-28)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

2017年の都市公園法改正により、民間活力の導入を目的に公募設置管理制度(Park-PFI)が施行された。そのため今後は、全国各地で自治体主催の公募を通じ、飲食店等の収益施設を、都市公園内に設置・管理する事業者の選定が展開される見込みを持つ。ここで事業者は、自ら施設を整備し、公園使用料を支払うことで収益事業の実施が認められる。つまり、一般の商業施設と同様に立地条件の影響を受ける事が推察される。そこで本研究は、都市公園における公募を通じ設置された収益施設の実態が、立地条件から受ける影響を明らかにすることで、Park-PFIの普及時における留意点を考察する事を目的とした。研究対象は19都市公園に設置された25の収益施設である。研究の結果、固定資産税路線価や駅からの距離等を立地条件の指標とした場合に、立地条件の良し悪しに応じて、収益施設の業種や施設計画、事業者の応募数の傾向が変化することが明らかになった。
著者
宋 俊煥 籔谷 祐介 泉山 塁威 保井 美樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.821-828, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
6

本研究は、「エリアマネジメント団体は、財源不足を前提としながらも、雇用形態の調整、他団体からの出向等により事務局に必要な人材を調達し活動を実施している。」という仮説の下、エリアマネジメント団体で働く人材を事務局の雇用形態毎に分析することで、人材特性及び活動特性(活動エリア・組織・活動内容・空間活用等)の傾向を明らかにすることを目的としている。2年間にわたり2回のアンケート調査を実施することで、36団体の活動特性を把握すると共に、働く人材の専門分野と他団体との連携事業特性を整理した。エリアマネジメント団体の事務局の雇用形態から5パターンに体系化し、それぞれの人材特性を明らかにした。また、パターン別の比較分析により、①自団体の正社員が多いパターンでは、会計・事務の専門人材が多く指定管理者制度等による公共施設の整備管理活動を行っている傾向、②民間会社からの出向が多いパターンでは、不動産人材が多く、公共空間等の活用を行っている傾向、③自治体やNPO等から出向或いは、自団体の業務委託が多いパターンでは、都市計画・都市デザインの専門人材が多く、まちづくりルール策定等を行っている傾向が明らかとなった。
著者
野原 卓 宋 俊煥 泉山 塁威 木原 一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.201-216, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2

都心部のストリートにおいて整備・管理運営・利活用等を総合的に行うストリートマネジメントを継続的に実現するには、ストリートマネジメント主体の形成もしくは醸成が重要になる。本論では、ストリートマネジメントプロセスを①初動期、②主体形成(醸成)期、③主体発展期という段階で整理し、また、マネジメントに関わる主体の役割を、①意思決定、②運営、③管理、④活用、⑤支援の5つで仮説的に整理した結果、ストリートマネジメントの主体形成(醸成)を円滑に行うためには、(1)マネジメント実働主体(特に運営主体)が形成・醸成される環境づくりの工夫、(2)合意形成を円滑にするためのワークショップ・シミュレーション・実験等の丁寧なプロセスと支援、(3)意思決定を円滑に行うための多主体を巻き込んだ包括的なプラットフォームの形成と行政の受け皿、(4)方向性共有のためのビジョン構築と共有プロセス、(5)発展期における活用・支援を通じた多主体への拡張、 (6)運営と実行を柔軟かつ機動力を持って行う体制、などが重要となることが明らかになった。
著者
泉山 塁威 西田 司 石田 祐也 宋 俊煥 矢野 拓洋 濱 紗友莉 小原 拓磨
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.284-289, 2020-09-07 (Released:2022-06-08)
被引用文献数
1

本稿では,「コロナ道路占用許可」の調査による速報的考察を行うことで,路上客席の現状把握から可能性と課題を抽出することを目的とする.分析は,「コロナ道路占用許可」の枠組みの整理,30自治体の実践事例の整理,主体の分析,空間の分析を行っている.なお,「コロナ道路占用許可」に伴う路上客席は空間面・マネジメント面などウォーカブルや歩行者利便増進道路などの歩行者中心のストリートに向けた現状把握にもなることから,路上客席の先に歩行者中心のストリートへの政策への接続についても問題意識を持っている.
著者
高村 友美 宋 俊煥 岡松 道雄
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.806-813, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究は、愛媛県の全20市町を対象とし地域特性と移住支援施策を整理するとともに、近年の20市町の移住率との関係を明らかにすることで、地方移住への要因と課題を提示することを目的としている。まず、20市町における地域特性と移住率との相関関係(重回帰分析等)を分析した結果、少子高齢化の進行した地域かつ、医療・福祉の支援が受けやすい地域、第一次産業や公務といった第三次産業以外の産業が盛んな地域ほど移住率が高いことが明らかとなった。次に20市町の移住支援施策を指標化し、数量化Ⅲ類分析より4つの特性軸(I.第一次産業就業者の獲得性、II.定住促進性、III.情報の発信性、IV.地場産業促進性)を明らかにした。また、類型化を行い、各市町の地域特性と合わせた4グループの特性(GA:情報発信積極型【都市型】/GB:地場産業促進・第一次産業関連移住者獲得型【準農村型】/GC:若年層等移住者獲得中心型【農村型】/GD:大都市部移住者等定住促進型【準都市型】)を明らかにした。最後に各グループの高移住率の4事例を取り上げ、共通点として①農村的特性がみられる地域であることや②地域固有の特性を活かした施策が多く実施されていることを指摘している。
著者
森 豪大 籔谷 祐介 宋 俊煥
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.933-940, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究では、高岡市に居住する高校生を対象にアンケート調査を実施し、どのような源泉がシビックプライドを醸成し、将来の定住意識を高めるかという一連の流れを明らかにした。源泉は「地域環境」、「文化・産業」、「食・自然」、「歴史」の4つの因子で構成され、シビックプライドの構成要素は「参画」、「アイデンティティ」、「愛着」、「持続願望」の4つであることを提示した。また、共分散構造分析の結果、高校生における将来の定住意識は、シビックプライドの構成要素の一つである「愛着」によって形成され、その「愛着」は「地域環境」と「文化・歴史」の源泉によって醸成されることが明らかになった。高校生にとっては、身近に利用できる公園・緑地環境や、祭でのコミュニケーション、小中学校において伝統文化や産業に触れる地域教育が将来の定住意識に寄与することを推察した。
著者
木下 遼香 岡松 道雄 宋 俊煥
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.28, no.69, pp.816-821, 2022-06-20 (Released:2022-06-20)
参考文献数
12

In recent years, learning commons spaces have become prevalent in university libraries throughout Japan. The purpose of this study is to clarify the characteristics and operational status of learning commons by focusing on spaces where students can eat and drink, which are thought to contribute to their active learning. The study targets 125 university libraries across Japan, and clarified that students use the spaces in different ways depending on their spatial characteristics, as well as operational issues. It suggests the possibilities and challenges of effective use for active learning.
著者
宋 俊煥 出口 敦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.78, no.684, pp.413-420, 2013-02-28 (Released:2013-05-31)
参考文献数
24
被引用文献数
3 19

Recently, the importance of Transit-Oriented Development (TOD) of cities based around railway stations is being emphasized. This study aims to evaluate and classify 152 railway station areas from the viewpoint of Transit-Oriented Development by analyzing the target areas located in a 30km circumference surrounding Central Tokyo. By using the Principal Component Analysis, 4 factors were consequently drawn to evaluate the railway station areas: 1)Integration of urban function, 2)Connection and serviceability of public transit, 3) Change-rate of urban function, 4)Urban self-reliance. As a result of typology, it is possible to classify seven types of railway station areas. Each type's characteristics and problems are clarified through the analysis.