著者
窪田 崇秀 児玉 謙司 中村 哲也 桜庭 裕弥 大兼 幹彦 永沼 博 高梨 弘毅 安藤 康夫
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
Journal of the Magnetics Society of Japan (ISSN:18822924)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.100-106, 2010-03-01 (Released:2010-03-24)
参考文献数
30
被引用文献数
1

We successfully fabricated L21-ordered Mn2VAl Heusler thin films and evaluated their ferrimagnetic properties by soft x-ray magnetic circular dichroism (XMCD). The buffer layers and annealing temperatures were varied to prepare the Mn2VAl films. We discovered that Mn2VAl could be ordered in an L21 phase well when it was deposited directly onto an MgO (001) single crystalline substrate. The maximum values of L21 and B2 long-range order parameters we obtained were about 0.5 for both phases for samples without a buffer layer, when substrates were heated at 500°C or 600°C. The saturation magnetization (Ms) for these samples was roughly 150 emu/cc. This is rather small compared to that expected from the ideal Slater-Pauling behavior, which might be due to the suppressed degree of L21 or B2 ordering. Ferrimagnetism in the Mn2VAl, ferrimagnetic coupling between Mn and V moments was clearly observed by using the XMCD technique in well-ordered L21-Mn2VAl film as has been predicted in theoretical investigations.
著者
高梨 弘毅 YANG Fujun
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

前年に引き続き、B_4Cにスピン注入するための高スピン注入源としてのハーフメタルホイスラー合金薄膜の作製を行った。通常、強磁性材料のスピン偏極率を評価するためには、トンネル磁気抵抗素子などの磁気抵抗から評価するか、アンドレーフ反射やトンネル分光を用いる方法や光電子分光などの方法が用いられる。本研究では、強磁性体の一般的な磁気抵抗効果として知られる異方性磁気抵抗効果(AMR)を用いて、スピン偏極についての情報が得られるのかについて評価した。Co_2MnSiやCo_2FeSi等のホイスラー合金を合金組成や熱処理温度を変化させて作製し、そのAMR効果を系統的に調べた。その結果、Co_2Fe_xMn_<1-x>Si合金薄膜では、x<0.6以下のときにAMR比の符号が負となり、それ以上では正となることを見いだした。古門らによる理論モデルによれば、AMR効果の起源となるsd散乱がs↑からd↑の場合はAMRの符号が負になるが、s↑からd↓だと正になることが報告されている。すなわち、Co_2Fe_xMn_<1-x>Si合金においてはx>0.6において、ハーフメタルギャップ中のフェルミ準位上にd状態が現れるために、AMR効果が正に変わったと推測される。この結果は、第一原理による状態密度計算とも非常に良く一致するものであり、AMR効果からハーフメタル性を検証できる可能性を示唆する成果である。AMR効果は面倒な微細加工プロセスや高度な評価技術が不用な簡便な電気測定で評価できることから、新たなハーフメタル材料探索に応用されることが期待される。
著者
加治 志織 大橋 政司 三谷 誠司 高梨 弘毅 巨海 玄道
出版者
九州大学理学部極低温実験室
雑誌
九州大学極低温実験室だより (ISSN:13460161)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.19-24, 2003-06

Co-Al-0グラニュラー薄膜は、Co粒子がAl酸化物絶縁相にナノスケールで分散した構造をもつ金属-非金属グラニュラー物質でトンネル型磁気抵抗効果(Tunnel Magnetoresistance:TMR)を示す典型的物質である。今回我々は低温・高圧下でこの物質の電気抵抗の測定を行い、その特徴ある温度依存性の圧力変化及びTMRの加圧による増大を測定した。これらの結果について概観し、その背後に横たわる物理的な機構を考察する。Co-Al-O granuler films consist of nanometer-sized Co granules embedded in an Al-oxide matrix, which are typical examples exhibiting tunnel magnetroresistance(TMR). We have measured the electrical resistance of this granular film under high pressure and magnetic field. It is found that the temperature dependence of resistivity is affected strongly and TMR is enhanced by applying pressure. We suggested that the higher order tunneling model is able to explain the experimental results.
著者
高梨 弘毅 大谷 義近 大野 裕三 小野 輝男 田中 雅明 前川 禎通
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本特定領域では、スピン流の生成と消滅、そしてそれらを通して生じる物理的信号の変換制御に関わる学理を確立し、新規なデバイス応用への可能性を探索することを目的としている。総括班は、本領域全体のコーディネータ的役割を果たし、同時に内部評価を行う。本年度は、本特定領域の最終成果報告会として国際ワークショップ「5th International Workshop on Spin Currents」を2011年7月25日(月)~28日(木)の日程で仙台国際センターにおいて開催した。最近のスピン流研究において注目される議題として、(1)スピンホール効果やスピンゼーベック効果に代表される純粋スピン流現象、(2)スピン注入磁化反転や自励発振、電流誘起磁壁駆動などのスピントランスファー現象、(3)非磁性体、特に半導体へのスピン注入、(4)磁化の電気的あるいは光学的制御、(5)スピン流の創出と制御のための材料探索・プロセス・評価の5項目について、それぞれの分野において世界最先端の成果を上げている研究者を組織委員会で選出し、口頭発表をお願いした。それ以外にも、特定領域研究で得られた成果が、ポスター講演において数多く報告され、4日間にわたって活発な議論が展開された。また、各計画研究代表者および公募研究代表者から、領域設定期間中の成果に関するデータを収集した。そのデータを元にして、原著論文、解説、著書、国際会議発表、国内会議発表、報道(新聞、TV等)、受賞、特許、その他(若手育成など)、の9項目について成果のとりまとめを行った。