著者
高橋 めい子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の主題は「放射線誘発甲状腺がんの発症リスクに関与する遺伝子多型性SNPsの同定」である。申請者らはチェルノブイリ原子力発電所の事故により乳幼児期に放射能被爆を受けたベラルーシ人から、早発型甲状腺乳頭がんの患者群の検体と、その患者と年齢、性別、被爆時の居住地が一致する健常者群の収集をし、全ゲノム関連解析GWASを実施した。
著者
高橋 めい子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

癌の臨床症例において、PROX1の発現や変異の調査: 肝癌症例でPROX1の発現と癌の分化度や患者の生命予後との間に相関関係があり、PROX1の発現が低い程分化度が低く、また生命予後も悪い事が有意に示された。膵癌でも未分化のものであるほどPROX1の発現量が低いことが示された。癌細胞株でPROX1のゲノムDNAの変異は指摘されなかったが、同じ細胞株のRNAを回収し逆転写反応を行って得たcDNAで特定の4カ所でアデノシンからグアノシンへの同じパターンの変異が起きていることを証明した。細胞培養・臨床検体におけるRNA変異の検出システムの確立:SNP研究に利用されている多塩基プライマー伸長法を応用して、多数の細胞培養・臨床検体を対象としたRNA変異のスクリーニングシステムを確立した。このシステム確立により、多検体から目的のRNA変異を起こしているサンプルの抽出が効率的に行えるようになった。Clinical Research分野においても、RNA変異が及ぼす影響を患者の予後や腫瘍の進展形式等の観点から、網羅的・系統的に解析可能になり、大きな進歩をもたらすことが期待できる。PROX1の機能解析:まずsiRNAの実験系でPROX1の発現を抑えると細胞の増殖能は亢進し、逆にプラスミドを導入してPROX1を強制発現させると増殖能が低下することを証明した。次にTet-off/Tet-on Gene expression systemを用いて、野生型PROX1には増殖抑制作用があり、それがmutant PROX1では失われていることが示された。マウスを用いたin vivo実験でも同じ結果が得られ、野生型では腫瘍縮小効果が認められたがmutant PROX1では腫瘍のサイズはほとんど変化を認めなかった。PROX1は細胞増殖を抑制し、変異によってその機能が失われることが、vitroとvivo双方の実験で証明された。