著者
高橋 和昭 南都 文香 豊水 正昭
出版者
日本万国家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.J44-J47, 2012-10-25
参考文献数
13

飼料用籾米給与がブロイラー腸免疫に及ぼす影響を腸管免疫関連遺伝子発現から検討した。トウモロコシ-大豆粕を主体とした飼料(対照飼料)または対照飼料のトウモロコシ全量を2種の未破砕籾米(タカナリまたはモミロマン)で代替した飼料を初生ブロイラーオズ(チャンキー系)に孵化後から4週間給与した。メッケル憩室近辺の腸組織の免疫関連遺伝子発現と血漿中免疫グロブリン(Ig)AおよびG濃度を測定した。前炎症性サイトカイン発現(インターロイキン-1,6及びインターフェロン-γ腫瘍壊死因子様リガンド1A)量はタカナリ給与区が対照またはモミロマン区与より統計的に有意に高いか,高い傾向にあった。タカナリ給与区における調整型サイトカイン発現(インターロイキン-10及びトランスフォーミング増殖因子-β)量はモミロマン給与区よりも有意に高かった。指標遺伝子発現量から推定したT細胞数(CD3)とT細胞増殖能力(インターロイキン-2)はタカナリ給与区がモミロマン給与区よりも高く,モミロマン給与区は対照区よりも低かった。免疫グロブリン濃度もタカナリ区でモミロマン区よりも高かった。これらの結果は,腸管免疫に対する飼料用籾米給与の影響はトウモロコシ給与のそれと異なること,飼料用籾米間でも腸管免疫に対する作用は異なる可能性を示している。
著者
永野 由祐 中田 真一 上田 浩三 松下 浩一 高橋 和昭
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.139-143, 2014

未利用海藻ノコギリモクの乾燥粉末給与が鶏卵品質に及ぼす影響を産卵ステージの異なるニワトリを用いて調査した.飼料としては,トウモロコシ─大豆粕を主体とした市販の採卵鶏用飼料とこの飼料の40%を籾米と置換した飼料を用いた.供試鶏として,産卵最盛期または廃棄直前の国産鶏と産卵後期の外国産鶏を用いた.卵黄中ヨウ素濃度は産卵時期や使用したニワトリの種類にかかわらず,ノコギリモク添加区で無添加区に比較して増加した.卵黄中<i>β</i>-カロチン濃度は国産鶏を用いた試験において,ノコギリモク添加区で無添加区に比較して増加した.また,ノコギリモク添加による卵黄中<i>β</i>-カロチン濃度の増加は,籾米混合飼料を使用した時に顕著であった.卵殻厚は,廃棄直前鶏に籾米混合飼料を給与した時に,ノコギリモク添加による増加が観察された.一方で,外国産鶏へのノコギリモク添加給与は,卵殻厚に影響を及ぼさなかったが,卵殻強度の有意な上昇が認められた.以上のことから,ノコギリモクは採卵鶏において卵黄中ヨウ素および<i>β</i>-カロチン濃度を増加させ,産卵後期におけるニワトリの卵殻質を改善させる有用な未利用資源となる可能性が示された.