著者
畑佐 由紀子 高橋 恵利子 伊東 克洋
出版者
広島大学大学院教育学研究科
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 (ISSN:13465554)
巻号頁・発行日
no.65, pp.177-186, 2016

The current paper reviews previous research on the acquisition of Japanese language sounds and pronunciation skills of second-language learners of Japanese, focusing on both segmental and suprasegmental features. We first provide a brief overview of Japanese language sounds. Studies based on comparative analysis of segmental features in Japanese and learners' native languages are then discussed, followed by a review of recent studies involving a range of techniques, including acoustic analysis, cross-sectional and time-series experimental designs to explore the acquisition process and factors affecting it. In addition, we examine research on the production and perception of Japanese lexical accent, and the relationships between them. Based on this review, we propose that the rhythmic unit, mora, a typologically unique feature of Japanese, presents significant learning challenges for second-language learners, because it affects the perception and production of segmental features such as long and short vowels, double consonants, and syllabic nasals as well as the Japanese lexical accent. Finally, we examine previous research examming second-language learners' pronunciation skills. We propose that insufficient attention has been paid to this issue, warranting future investigation.
著者
高橋 恵利子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.169, pp.16-30, 2018 (Released:2020-04-26)
参考文献数
34

日本語学習者の日本語アクセントの習得に関わる認知的な要因を調査するために,上級韓国人日本語学習者70名を対象に,アクセント習得に関わると考えられる複数の課題を課した。課題は,有意味語の読み上げ課題,アクセント正誤判断課題,無意味語の読み上げ課題とそのモニター課題,およびアクセント弁別課題の5つであった。読み上げ成績と最も相関が高かったのはアクセント正誤判断課題であった。また変数間の関係について,アクセント生成と他変数との関係を考察するために重回帰モデルの検討を行った結果,アクセント生成成績を予測する変数はアクセント正誤判断課題成績のみであることが示された。
著者
高橋 恵利子 畑佐 由紀子 山元 啓史 前川 眞一 畑佐 一味
雑誌
じんもんこん2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.59-64, 2015-12-12

本研究は日本語学習者の発音の自動評価システムの開発を目的としている.そのための基礎調査と して,中国人日本語学習者の音声データと,それに対する母語話者の一対比較評価データから,課題 文及び評価方法の妥当性について検討した. 評価者の属性に関わらず母語話者の評価はほぼ一致して いたことから,一対比較による評価方法を用いれば,評価者の属性に関わらず,妥当な評価値が得ら れる可能性が指摘できる.今後,さらに評価対象とする音声データを増やして今回の結果を検証する 必要がある.また,一対比較による膨大な評価作業における評価者の負担を軽減するため,一般母語 話者を対象としたクラウドソーシングを採用することの意義と課題について言及する.
著者
高橋 恵利子 畑佐 由紀子 山元 啓史 前川 眞一 畑佐 一味
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2015-CH-107, no.5, pp.1-4, 2015-08-02

本研究の目的は,外国人日本語学習者の発音能力を簡易に診断するシステムを開発することである.その目的を達成するためにはさまざまな問題があるが,本稿では音声データの収集形式の問題と評価者の問題を取り上げる.音声データの収集方法としては,短文を読み上げ,それを録音する方法 (読み上げ課題) と,同じ短文をあらかじめ録音したものを聞いて発音したものを録音する方法 (リピート課題) の 2 つを検討する.録音の評価者は,全員日本語母語話者 (日本語教師,日本語教育未経験者) とし,これらの条件で,6 名 (母語話者 2 名,ほぼネイティブ水準の発音技能を持つ者 2 名,顕著な外国人訛りを持つ者 2 名) の音声提供者の録音資料を用い,一対比較法による評価実験を行った.実験の結果,データの収集方法については,いずれの方法によっても 0.86 以上の相関係数が得られたが,リピート課題 (0.86 以上) よりも読み上げ課題 (0.92 以上) の方が,若干高かった.これにより,今後のシステム設計計画では,一般の母語話者を評価者とし,あらかじめ音声材料を準備する必要のない読み上げ課題によるデータ収集方式を採用することにした.