著者
高橋 教雄 朝倉 博幸
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.11-13, 2015

降着装置システムは安全に地上から離れ安全に地上に降りることに加えて地上では離着陸,速度制御,操向角制御タキシング等を行う装置であることから軽量・コンパクトで高い信頼性のあることが要求される.このために古くに確立された技術が現在も引き継がれているが,近年の航空機電動化技術は確実に降着装置システムにも適用範囲を広げている.飛行制御系統に適用されているEHA(Electro Hydrostatic Actuator)やEMA(Electro Mechanical Actuator)を中心にして従来の集中油圧方式の置き換えによる航空機全体の軽量化と,エネルギー利用の効率化は自動車の電動化技術に類似した動きと捉えても良いように思える.ここでは,降着装置システムの電動化技術の端緒となったボーイング787に採用された電動式ブレーキと,近年開発が進められている電動タキシング技術について紹介するとともに,日本で開発を進めている降清装置の電動化研究についても触れながらエアラインの視点を含めて紹介する.
著者
高橋 教雄 守谷 富男 手島 光司
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.63-71, 1982-03

自由噴流中におけるCO_2,CH_4,D_2分子及びHe-Ar, Ar-Ne混合気体の凍結並進温度を分子線飛行時間法によって測定した。分子に対し既存の回転・並進緩和理論との比較を行ない, 分子の緩和速度が小さくなるにつれて凍結並進温度に対する実験値と理論値との差が大きくなることが分った。これは, その理論が非常に大きい緩和速度を有する分子にしか適用できないことを示している。一方, 希ガス混合気体に対して重い粒子の凍結温度が軽い粒子の凍結温度よりも2∿3倍も高くなることが観測された。これはモーメント法による理論的予測に反した。しかしながら, モンテ・カルロ法による非経験的な数値結果とは定性的に一致し, さらにsudden freeze理論に対して非常に良い一致を示した。この事実は混合気体の自由噴流中における各原子種の凍結並進温度が原子間のポテンシャルモデルに大きく依存していることを暗示している。