著者
小野 三嗣 尾谷 良行 高橋 泰光 坪田 修三 倉田 博
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-13, 1968
被引用文献数
1

剣道5段2名, 3段3名, 初段2名, 無段 (経験約1年) 3名, 剣道は全く無経験であるが他のスポーツには習熟しているもの4名を対象として, 木刀, 竹片, 竹刀によるストレーンゲージ打撃を行わせた。その時の張力並びに微分曲線を陰極線オッシログラフ並びにペン書きオッシログラフに記録し, 大要次の如き結果を得た。<BR>1) 剣道熟練者はその静的筋力を打撃力に転換する率が高い。また張力発生の傾斜も鋭いため, 衝撃エネルギーとして考える時, 未熟練者よりも遥かに大きな値を示す。<BR>2) 熟練者は打撃に際して上腕三頭筋を有効に使用し, しかもその瞬間に上腕二頭筋は充分に弛緩させている。未熟練者では上腕二頭筋と三頭筋が同時に収縮することが珍しくない。<BR>3) 熟練者は同じ動作のくりかえし, 或いは用具の変更によって, 筋放電パターンに大きな差異を生じることはないが, 未熟練者では変動が大きい。<BR>尚シンクロナイズ装置付電子ストップウオッチを用い, 四肢のそれぞれ二肢を同時に動作しようとする場合の時差を測定した。<BR>剣道選手に特有と思われる所見は発見できなかった。
著者
小野 三嗣 高橋 泰光 尾谷 良行 高橋 基泰
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.104-112, 1965-09-01
被引用文献数
2 1

東京都区立東山中学校の男子1年生106名, 男子2年生224名の体力測定を行い, 各測定項目相互の関係を追究の結果, 太要次のような結論を得た。<BR>1.反復横跳, 懸垂屈腕, ステツプテスト点の3者には学年差がみとめられなかつたが, 他の測定項目は2年生の方が優れていた。<BR>2.中学2年生において体重50.0~55.0kg群が短距離疾走能力最大であり, 体重の増減に従つて低下する。1500m以上の短離では体重最低の35.0kg末満群が最も速く, 体重増加に従つて速度が低下する。<BR>3.1500m以上の疾走速度はステプテスト点, 肺活量に対する相関度よりも100m疾走能力との間の相関度の方が高い。<BR>4.走幅跳と脚力の相関関係には学年差がないが, 走幅跳と25m走所要時間との間の逆相関度は2年生の方が高い。<BR>5.背筋力及び懸垂跳は1年生では体重の増加に従つて大きくなり, 体重最大の45.0kg以上群が最大であるが, 2年生では50.0~55.0kg群が最大であり, それよりも体重が減少するに従つて低下すると同時に, それ以上の体重でも低下している。<BR>6.懸垂屈腕能力では中学2年の場合体重45.0~50.0kg群が最もすぐれ, この群を中心として体重増減いずれの場合でも低下度が強くなる。1年生でも類似の傾向がみとめられるが2年生ほど著名でない。<BR>7.中学2年生では, 比体重値32.5~35.0の間の群が懸垂屈腕力が最もすぐれているが, この群において身長をcm単位で表した無名数との差は107.132±0.461であつた。