著者
小野 三嗣 渡辺 雅之 長尾 憲樹 池田 道明 山本 隆宣 小野寺 昇 田中 弘之 原 英喜 湊 久美子 大橋 道雄
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.191-204, 1980-12-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
48

低糖高蛋高脂食をあたえた青年健康男子5名に20km走を行わせ, それが血圧, 心拍数, 体重, 皮脂厚, 血液成分, 尿所見の経過に如何に反映するかを見ると共に, タウリン投与がそれをどのように変動させるかを二重盲検法によって研究し, 概ね次のような所見を得た。1) 20km走による体重減少度はタウリン投与時の方がプラセボ投与時より多かった。2) 20km走による最大血圧上昇度はタウリン投与時の方がプラセボ投与時より少なかった。3) 20km走後に上昇してくるCK-MB/CK比はタウリン投与によって減少させることができた。4) 20km走によるLDHの増加率はプラセボ投与時よりタウリン投与時の方が小さい。5) プラセボ投与時には20km走によってトリグリセライドが上昇したが, タウリン投与時には減少した。6) タウリン投与は20km走による個々の脂肪酸構成比に大きな影響をあたえる。7) 20km走によるアドレナリン値はタウリン投与時の方が大きい。8) その他の血液成分や尿中カリクレインに対しては有意の変動が見られなかった。
著者
小野 三嗣 荻野 光男
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.64-68, 1963-06-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
4

東京都内T小学校, 埼玉県下S小学校の就学学童全員について, 昭和37年7月, 身長, 坐高, (下肢長) 膝上高, 膝下高を測定し, 長育発育の比率動態を研究した結果, 次の結論を得た。1) 埼玉S小学校の身長は, 男子は1961年の身長水準に概ね一致しているが, 女子の発育は不充分で1950年度の全国水準値付近にとどまっている。2) 東京T小学校は男女ともに, 1961年の全国水準より大きい。3) 下肢長発育傾向はS校よりもT校の方が強いが, 東京練馬区の2小学校調査では, 遂年的に下肢長比が増大する傾向が認められる。4) 東京T小学校と埼玉S小学校の下肢長発育の差は, 特に下腿長発育の差に強く現われている。以上の事実に若干の考察を加えると共に, 机, 椅子の高さとの関係について言及した。
著者
小野 三嗣 荻野 光男 本間 達二
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.35-38, 1964
被引用文献数
3

特別には運動などを行つていない, 医科大学の男子学生について, 能動握力と受動握力及び肩帯固定力を測定し, 次の結果を得た。<BR>1) 能動握力と受動握力とは, その被験全例について, 相関係数を求めると0.52となるが, 約5%の極端なものを除外すると相関係数は0.42に低下する。<BR>2) 受動握力と肩帯固定力との相関係数は, 0.67で, 比較的強い正相関を示す。<BR>3) 力を一定にして浅指屈筋の遠位端, 筋腹中央, 近位端附近の皮膚表面から誘導した筋電図では, 能動的な場合も, 受動的な場合も殆んど差異を認めなかつた。
著者
小野 三嗣 尾谷 良行 高橋 泰光 坪田 修三 倉田 博
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-13, 1968
被引用文献数
1

剣道5段2名, 3段3名, 初段2名, 無段 (経験約1年) 3名, 剣道は全く無経験であるが他のスポーツには習熟しているもの4名を対象として, 木刀, 竹片, 竹刀によるストレーンゲージ打撃を行わせた。その時の張力並びに微分曲線を陰極線オッシログラフ並びにペン書きオッシログラフに記録し, 大要次の如き結果を得た。<BR>1) 剣道熟練者はその静的筋力を打撃力に転換する率が高い。また張力発生の傾斜も鋭いため, 衝撃エネルギーとして考える時, 未熟練者よりも遥かに大きな値を示す。<BR>2) 熟練者は打撃に際して上腕三頭筋を有効に使用し, しかもその瞬間に上腕二頭筋は充分に弛緩させている。未熟練者では上腕二頭筋と三頭筋が同時に収縮することが珍しくない。<BR>3) 熟練者は同じ動作のくりかえし, 或いは用具の変更によって, 筋放電パターンに大きな差異を生じることはないが, 未熟練者では変動が大きい。<BR>尚シンクロナイズ装置付電子ストップウオッチを用い, 四肢のそれぞれ二肢を同時に動作しようとする場合の時差を測定した。<BR>剣道選手に特有と思われる所見は発見できなかった。
著者
小野 三嗣 高橋 泰光 尾谷 良行 高橋 基泰
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.104-112, 1965-09-01
被引用文献数
2 1

東京都区立東山中学校の男子1年生106名, 男子2年生224名の体力測定を行い, 各測定項目相互の関係を追究の結果, 太要次のような結論を得た。<BR>1.反復横跳, 懸垂屈腕, ステツプテスト点の3者には学年差がみとめられなかつたが, 他の測定項目は2年生の方が優れていた。<BR>2.中学2年生において体重50.0~55.0kg群が短距離疾走能力最大であり, 体重の増減に従つて低下する。1500m以上の短離では体重最低の35.0kg末満群が最も速く, 体重増加に従つて速度が低下する。<BR>3.1500m以上の疾走速度はステプテスト点, 肺活量に対する相関度よりも100m疾走能力との間の相関度の方が高い。<BR>4.走幅跳と脚力の相関関係には学年差がないが, 走幅跳と25m走所要時間との間の逆相関度は2年生の方が高い。<BR>5.背筋力及び懸垂跳は1年生では体重の増加に従つて大きくなり, 体重最大の45.0kg以上群が最大であるが, 2年生では50.0~55.0kg群が最大であり, それよりも体重が減少するに従つて低下すると同時に, それ以上の体重でも低下している。<BR>6.懸垂屈腕能力では中学2年の場合体重45.0~50.0kg群が最もすぐれ, この群を中心として体重増減いずれの場合でも低下度が強くなる。1年生でも類似の傾向がみとめられるが2年生ほど著名でない。<BR>7.中学2年生では, 比体重値32.5~35.0の間の群が懸垂屈腕力が最もすぐれているが, この群において身長をcm単位で表した無名数との差は107.132±0.461であつた。
著者
小野 三嗣 宮崎 義憲 渡辺 雅之 原 英喜 湊 久美子
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.114-121, 1981-04-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5
被引用文献数
2 3

保健体育科男女大学生, 大学における運動部員, 中年までの肉体労働者及び事務職員, ウェイトリフターに反復握力の計測を行った結果, 概ね次のような成績を得た。1) 女子は男子より握力反復計測による維推率が小さいが, 両性とも朝・夕での差はなかった。2) 大学運動部員の場合, 野球部員の維推率は大きく, 柔道部員がこれに次ぎ, バレーボール, テニス部員などはそれが小さかった。3) 中年までの男子の場合, 肉体労働者の維推率は大きく, 事務職者の場合は小さかった。4) ウェイトリフターは経験の少ない若い選手の方が, 鍛練度の進んだ選手よりも握力反復による維推率が小さかった。5) 右手と左手の反復握力による維推率には, スポーツ種目により若干の傾向差が見られるものもあるが, 他種目との比較の場合より少なかった。ただし個人では左右で大差の認められるものもあった。6) 最大握力と反復測定による維推率との間には有意の相関が認められなかった。
著者
小野 三嗣 山田 茂
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.25-33, 1975-03-01

37才から44才までの未鍛練健康婦人13名を,夏の暴風雨中,26km急歩を実施させた。26kmを4時間30分で歩きつづけることに成功した8名の帰人,歩行開始後4時間,20kmの地点に到達した後疲労のため歩行を中止した5名の婦人の体格,体構成,脈拍,血圧,血液,尿所見の検査結果を平均的に比較検討した結果から,概ねつぎのような知見を得た。1)心拍数に対する歩行の影響では両群問に差がなかったが,早朝空腹時の平均収縮期血圧が131.5mmHgであった26km歩行群では歩行直後116.3mmHgまで低下していたが,開始前の値がI13.6mmHgであった20km歩行群では何の変化も観察されなかった。2)血中遊離脂肪酸の増加が特に顕著であったが,その程度は26km歩行群の方が著しかった。血中遊離脂肪酸の消長は積極的運動努力の指標のように恩われた。3)トリグリセライドは運動時間が長くなるほど減少する傾向が強まるように思われた。運動の強度とはそれほど関係がないように考えられる。4)コレステロールは8時間以内程度の運動では有意の影響を受けないように思われる。5)運動強度は26km群の方が大きく相応の負担がかかっていることは尿pHの変化からも示唆されたが,有害なストレスという点では体力的に劣る20km群の方に強くあらわれたようである。6)20km群の方が血液濃縮を強く受けLDHの増加が著しく血糖の減少度が強い。7)中年婦人の健康的体脂肪沈着度は25〜28%と考えたい。