著者
山口 倫直 伊藤 秀隆 鈴木 典子 高橋 猛 井上 登太
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.D3P2548-D3P2548, 2009

【目的】呼吸機能検査においてスパイロメロリーは簡便でかつ比較的侵襲性の低い検査方法であるが,正確なデータを得るには検査技師の技量のみならず,被験者の協力,努力が必要不可欠である点が挙げられる.さらに測定値にばらつきが出やすいことが問題になっている.6秒量(以下FEV6)は呼気開始時点から最初の6秒間に呼出された気量のことで,努力肺活量(以下FVC)の代用として注目されている.今回我々はFVCの代用としてFEV6の有用性について検討したので報告する.<BR><BR>【方法】計画内容を説明のうえ協力の同意を得た被験者25名(男性14名,女性11名,平均年齢68.5歳)を対象とした.方法は,英国フェラリス社製PiKo-6にてFEV6,FEV1,FEV1/FEV6を測定し,またフクダ電子社製Spiro Sift Sp-750にて肺機能検査を行いFVCの測定を行った.そこでFEV6とFVCとの相関を評価した.統計手法として,ピアソン相関係数をおこないp < 0.05を有意水準として判定した.<BR><BR>【結果】Piko-6によるFEV6測定値とSpiro Sift Sp-750によるFVC測定値との相関を評価した結果,相関係数r = 0.838と高い相関を示した.<BR><BR>【考察】FVCの測定は肺気量分画を測定するとき以上に被験者の協力,努力が必要で,特に閉塞性換気障害を有する場合,胸腔内圧の上昇から引き起こされる循環動態の変化から,胸部不快感や稀に失神などの危険性も孕んでいる.呼出努力の時間を6秒間に限定することにより合併症のリスクが減少すると考えられる.また閉塞性換気障害が高度な場合,呼出の終末に近づくに従い呼気流速が著しく低下してスパイロメーターの測定感度を下回る状態が続くことがあり,結果として測定終了点が不明確になることも少なくない.この測定終了点の明確さにおいてもFEV6はFVCに比べ測定値のばらつき少ないと言える.<BR>PiKo-6はFEV6の測定に機能を絞った安価な測定機器であり,従来のスパイロメーターと比較して小型・軽量で持ち運びに便利な上,操作も安全かつ簡便で検査者による測定値の差が出にくい利点がある.今回の結果から,PiKo-6によりFEV6の測定を行うことでFVCの代用としての有用性が示唆された.FEV6の採用により測定時間が大幅に短縮され,限られた時間内により多くの検査やスクリーニングが可能になると思われる.さらに,ベッドサイドや訪問リハビリなど様々な場面,様々な職種における簡便な呼吸機能評価が可能になることが期待される.<BR><BR><BR>【まとめ】Piko-6によるFEV6測定値とスパイロメーターによるFVC測定値との相関を評価した.その結果,相関係数r = 0.838と高い相関が認められた.FEV6はFVCよりも簡便でかつ安全に施行でき,検査者による測定値の差が出にくい特徴がありFVCの代用としてのFEV6の有用性が示唆された.FEV6は呼吸器疾患,特にCOPDなどの閉塞性換気障害に対して有効な評価方法であり,今後の呼吸リハビリテーションの発展への貢献が期待される.
著者
高橋 猛 林 良雄 TAKAHASHI Takeshi HAYASHI Yoshio
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.181-192, 2017-03-31

今日,教育の情報化が進められている.1人1台へのハードウェアの環境整備は,海外と比較すると遅れているが,秋田県内でも八峰町や秋田市をはじめとして徐々にその波が広がりつつある.しかし,教育の情報化の目的は単に児童にICTを使わせるためではなく,ICTの特徴を生かして,教科の理解を深めることである.この目的に沿った使い方をするためには個々の教員がICTの特徴を理解し,その効果を最大化することができるよう,十分授業実践する必要がある.本論文では附属小学校で現在行っているICTを活用した授業実践と児童への効果について報告する.実践環境は電子黒板,タブレットPC,無線LANであるが,それに加えて,情報共有が簡単にできる授業支援システムを取り入れた.この授業支援システム(おまかせ教室)はクラウド型のもので,サーバーの管理が不要であり,教員の負担を最小限におさめることができる.ただし,常に外部との通信が生じるので,PCとネット環境にかなり依存することが予想された.そのため,タブレットPCや無線LANの調整とともに,別途光回線を用意することで,支障なく利用できるように整備した.4月から12月まで授業実践を行ったのち,児童へのアンケート調査を行なった.その結果,タブレットPCを使った授業は楽しいと思う児童がほとんどであり,ICT機器を活用して表現する力が身についたこと,児童はみんなの資料(意見)を見るために,授業支援システムは役に立ったと感じたことなど,ICTを活用した授業が児童の「関心・意欲・態度」の向上,「表現力」の向上に寄与し,アクティブ・ラーニングにも有効であろうと思われる知見が得られた."Digitization of education is pushed forward today. Though maintaining environment with one for one falls behind the foreign country, The wave of Digitization of education is spreading through Akita including Happo town and Akita city by little and little. However, the purpose of the digitization of the education is not not to let merely child spend ICT but is to deepen the understanding of the subject by a characteristic of the ICT. To do how to use along this purpose, it is necessary for an individual teacher needs to understand a characteristic of the ICT and to put in lesson practice maximize the effect to maximize the effect. In this paper, we report the school lesson and learning with ICT practicing at elementary school attached to Akita University and the influence of it. The practice environment was an electronic blackboards, tablet PC's, wireless LAN, in addition took in the class support system which information sharing could simplify. This class support system(Omakase-kyoshitu)is the one of the cloud type, and management of a server is unnecessary, and it's possible to put teacher's burden in a minimum. But, data communication with outside the school always formed, so performance depends on the net environment fairly was expected. Therefore we set up tablet PC's and wireless LAN and we maintained it to use it without a trouble by preparing an optical line separately. After having practiced classes from April to December, we performed the questionary survey to children. The following results were obtained: There were a lot of children who thought that the class using the tablet PC was interesting, Children developed an ability to express their opinion, The child felt that they were useful for the class support system to watch the document (opinion) of all. This means that the school lesson and learning with ICT contributs improvement of interest, will, manner and expressive power and It'll be also effective in active learning."