著者
長澤 岳大 松本 奈緒 NAGASAWA Takehiro MATSUMOTO Naho
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.47-58, 2017-03-31

運動部活動はスポーツを通じて生徒の総合的な成長を支える活動である.この指導に関しては伝統的に学校の教員が担ってきたが,教員の多忙化の原因にもなり,これを軽減するために文部科学省は外部指導員の導入を決定した.このように重要性を指摘され,今後着目される外部指導者について研究する意義があるだろう.本研究の目的は中学校運動部の外部指導者の信念や教育的意義,教育内容,顧問や学校,保護者との関係について事例研究として明らかにすることであった.研究の結果,外部指導者は指導信念として,強くなるだけでなく,スポーツを通じて感動を体験させる,スポーツを通じた人間関係や出会いの素晴らしさを知る等,人格形成や人間関係の構築も含めた幅広い考えを持っていることが明らかとなった.指導内容や指導方針として,基本的な技術の習得や自分で考えることを含めた練習,動きながら教えること等の考えを持っていることが明らかとなった.関係性については,顧問とはある程度主導権を持ちながらも上手く分担し,保護者とはコミュニケーションを取るように気を配っていることが明らかとなった.しかし,中学校における部活動の意義については理解しておらず,また,学校に対し部活動の活動時間の制約が多いことを不満に思い,改善してほしいという,運営・管理上の事情を踏まえない過度な要望を持っていることが明らかとなった.
著者
鈴木 徹 SUZUKI Toru
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.177-180, 2017-03-31

本研究は,肢体不自由特別支援学校におけるタブレット型端末の活用実態を把握した上で,今後の研修会の在り方について検討することを目的とした.タブレット型端末の活用の有無と活用する上での課題を整理したところ,様々な活用方法が試みられているにもかかわらず,台数不足等が指摘されていることが明らかになった.結果を踏まえ,タブレット型端末の活用に関する研修会の在り方について論じた.
著者
中村 信弘 斎藤 孝 藤井 慶博 高田屋 陽子 NAKAMURA Nobuhiro SAITO Takashi FUJII Yoshihiro TAKADAYA Yoko
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.149-158, 2017-03-31

特別支援学校に勤務する看護師を対象に医療的ケアに関するアンケート調査を行い,看護実践の問題や校内組織等の課題について回答を得た.その結果,病院で勤務する場合と学校で勤務する場合の看護実践の違いや,看護師が学校で医療的ケアを実践することの安心や不安に感じている事柄,校内組織で配慮すべき点等が明らかとなった.これらの結果をもとに,今後求められる看護実践力について考察するとともに,緊急時対応の必要性,看護師と教員によるチームアプローチの重要性を提起した.
著者
加藤 しお子 藤井 慶博 KATO Sioko FUJII Yoshihiro
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.167-176, 2017-03-31

秋田県の特別支援学校における居住地校交流の実態と居住地校交流に携わる教員の意識を調査した.その結果,秋田県では,居住地校交流の実施率が急速に増加しているものの交流回数や活動内容は特別支援学校の学級担任にとって必ずしも満足のいくものではない状況が示唆された.また,交流相手校である小・中学校においても,活動内容の充実は大きな課題であると捉えられており,学校間の連携が強く求められた.居住地校交流を充実させるためには「実施手続き等の整備やガイドラインの作成等の体制整備」「中学部における取組」「実践の蓄積と共有」「学校間の連携」「地域生活の基盤づくり」が考えられた.
著者
佐藤 雅彦 浦野 弘 SATO Masahiko URANO Hiroshi
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.127-136, 2017-03-31

神山(2006),大城・笹森(2011),佐々木・武田(2012)による既存の調査結果をもとに,通級指導教室および特別支援学級の教育課程編成の現状を調査した.その結果は,学校全体の教育課程の編成に関して加古(2006)が指摘している編成主体の偏り,その弊害と思われる教員の負担増加や孤立が,特別の教育課程の編成および個別の指導計画作成でも認められることを明らかにしている.さらに,特別支援教育担当教員が指摘する課題は,連携や情報交換・共有の不足に関連したものが多いこと,そしてそれらが通級指導教室と特別の教育課程による特別支援学級に共通して見られることを示している.
著者
村松 勝信 藤島 英知 神部 守 藤井 慶博 MURAMATSU Katsunobu FUJISHIMA Hidetomo KANBE Mamoru FUJII Yoshihiro
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.159-166, 2017-03-31

本研究では,高等学校定時制課程における「ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業改善」の実践を通して,その有効性と教員の意識の変化を検討した.その結果,教材・教具の工夫や視覚的・聴覚的手掛かりといった授業の改善が図られ,多くの教員が授業の充実を実感していた.また,授業を参観する教員にとっても,授業を観る視点の広がりと観察する力が高まっていた.課題として,本実践の成果を生徒の学力や意識変化で検討していくことがあげられるとともに,今後学校の教育活動全体へ波及させていくことを提起した.
著者
高橋 猛 林 良雄 TAKAHASHI Takeshi HAYASHI Yoshio
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.181-192, 2017-03-31

今日,教育の情報化が進められている.1人1台へのハードウェアの環境整備は,海外と比較すると遅れているが,秋田県内でも八峰町や秋田市をはじめとして徐々にその波が広がりつつある.しかし,教育の情報化の目的は単に児童にICTを使わせるためではなく,ICTの特徴を生かして,教科の理解を深めることである.この目的に沿った使い方をするためには個々の教員がICTの特徴を理解し,その効果を最大化することができるよう,十分授業実践する必要がある.本論文では附属小学校で現在行っているICTを活用した授業実践と児童への効果について報告する.実践環境は電子黒板,タブレットPC,無線LANであるが,それに加えて,情報共有が簡単にできる授業支援システムを取り入れた.この授業支援システム(おまかせ教室)はクラウド型のもので,サーバーの管理が不要であり,教員の負担を最小限におさめることができる.ただし,常に外部との通信が生じるので,PCとネット環境にかなり依存することが予想された.そのため,タブレットPCや無線LANの調整とともに,別途光回線を用意することで,支障なく利用できるように整備した.4月から12月まで授業実践を行ったのち,児童へのアンケート調査を行なった.その結果,タブレットPCを使った授業は楽しいと思う児童がほとんどであり,ICT機器を活用して表現する力が身についたこと,児童はみんなの資料(意見)を見るために,授業支援システムは役に立ったと感じたことなど,ICTを活用した授業が児童の「関心・意欲・態度」の向上,「表現力」の向上に寄与し,アクティブ・ラーニングにも有効であろうと思われる知見が得られた."Digitization of education is pushed forward today. Though maintaining environment with one for one falls behind the foreign country, The wave of Digitization of education is spreading through Akita including Happo town and Akita city by little and little. However, the purpose of the digitization of the education is not not to let merely child spend ICT but is to deepen the understanding of the subject by a characteristic of the ICT. To do how to use along this purpose, it is necessary for an individual teacher needs to understand a characteristic of the ICT and to put in lesson practice maximize the effect to maximize the effect. In this paper, we report the school lesson and learning with ICT practicing at elementary school attached to Akita University and the influence of it. The practice environment was an electronic blackboards, tablet PC's, wireless LAN, in addition took in the class support system which information sharing could simplify. This class support system(Omakase-kyoshitu)is the one of the cloud type, and management of a server is unnecessary, and it's possible to put teacher's burden in a minimum. But, data communication with outside the school always formed, so performance depends on the net environment fairly was expected. Therefore we set up tablet PC's and wireless LAN and we maintained it to use it without a trouble by preparing an optical line separately. After having practiced classes from April to December, we performed the questionary survey to children. The following results were obtained: There were a lot of children who thought that the class using the tablet PC was interesting, Children developed an ability to express their opinion, The child felt that they were useful for the class support system to watch the document (opinion) of all. This means that the school lesson and learning with ICT contributs improvement of interest, will, manner and expressive power and It'll be also effective in active learning."
著者
成田 雅樹 NARITA Masaki
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-24, 2017-03-31

この論文は小学生の言葉の使い間違いを収集し,分析した結果を述べるものである.収集した間違いは158事例であった.分析は学年ごと,間違いが表れている言語単位ごと,間違いの種類ごと,原因の推定ごとに行った.顕著に言えることは概ね以下の通りである.言語単位では,「音・文字」に表れる間違いが最多であり,特に「長音」に関するものが多い.この「音・文字」に表れた間違いの種類は,ほとんどが「欠落」と「錯誤・不使用・不足」である.しかも「錯誤・不使用・不足」は,誤りの種類のなかで最多であった. 原因推定では,「意識希薄」が最多であり,「音・文字」や「語」で「口語表現」になっている誤りが過半数を占めている.この場合の誤りの種類も,すべて「錯誤・不使用・不足」であった.学年別に見ると,すべての学年で「聞き違い」や「不注意」による「音・文字」の誤りが多かった.