- 著者
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気賀沢 保規
高橋 継男
石見 清裕
神鷹 徳治
櫻井 智美
高瀬 奈津子
- 出版者
- 明治大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2003
本研究は6世紀から9世紀頃の中国南北朝後期隋唐期における石に刻まれた文字資料の「集成・データベース構築」とそれによる「地域社会文化」の研究を目的とした。今日、当該時代の墓碑や墓誌など石刻資料が第一次資料として注目される、しかし資料の系統的、網羅的な整理・把握とその情報の共有化の態勢が不十分である、その反省に立ち、資料の収集・整理・データベース化とその考察に努めた。以下のような具体的成果をあげることができた。(1)およそ7千点にのぼる唐代墓誌の所在を整理して『新版唐代墓誌所在総合目録』を刊行した。このことで内外の学界関係者から評価され、この時期の墓誌研究を前進させるために貢献できた。(2)唐代に先立つ時期の墓誌を初めて全面的に集約した「隋代墓誌所在総合目録」(483点)・「北朝墓誌所在総合目録」(779点)を刊行した。あわせて北朝から階代の関中(陝西省)の民族問題を石刻資料から論じた馬長寿著『碑銘所見前秦至隋初的関中部族』(全111頁)を、関連石刻も補って翻訳し、石刻による「地域社会」研究を進めた。(3)石刻関係資料の系統的入手と整理発信を長期的に可能にするため、東アジア石刻文物研究所(於明治大)を設署し、機関誌『東アジア石刻研究』創刊号を刊行した。並行して貴重石刻拓本の収集、新出・新報告資料の把握に努め、それら収集資料の一部は毎年、「解説」を付して展示公開とシンポの準備をした(次年度以降毎年開催)。(4)石刻資料研究では現地調査が必要で、三度にわたり院生・若手研究者を帯同して山東・河南・河北一帯の遺跡と文物所蔵機関を調査し、調査結果と情報を研究会で報告し、2本の報告論文にまとめた。(5)石刻をめぐる研究分担者の成果は「中国石刻史料をめぐる諸問題」と「石刻史料から探る北朝隋唐仏教の世界」の2セミナーで報告し、それを『中国石刻資料とその社会』論集に集約して、「地域文化」研究に繋げた。