著者
中本 裕也 大和 修 松永 悟 内田 和幸 高沼 良征 坪井 誠也 小澤 剛 小川 博之
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.862-865, 2014

初期の臨床症状として視覚障害が認められ,剖検により神経セロイドリポフスチン症(NCL)と確定診断されたチワワの1例を報告する.本例の初診時には,視覚障害を除く神経学的な異常は認められなかった.眼科検査では,球後結膜,角膜及び視神経乳頭における異常が認められたものの,本症状への関連は否定的であった.中枢性視覚障害の確認のために実施した頭部MRI検査では,NCLのチワワに特徴的とされる重度な脳萎縮及び造影剤による髄膜の増強効果が認められた.今回の報告のとおり,NCLのチワワの初期臨床症状として視覚障害が認められる場合がある.若齢のチワワに視覚障害が認められた場合,眼科疾患と誤認されないように,チワワのNCL診断で有用とされる頭部MRI検査を早期に実施する必要がある.