著者
大谷 大和 松永 悟之 平井 啓之
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2019-SLP-127, no.39, pp.1-6, 2019-06-15

本稿では深層学習を用いた波形接続型感情音声合成のための感情制御法について述べる.従来の波形接続型感情音声合成では,1) 素片単位での混合が困難であるため,中間的な感情表現が乏しい,2) 入力された感情強度に従い素片の感情の種類を切り替えるため,感情による声質の変化が不連続になるといった問題があった.これらの問題を解決するために,提案手法では深層ニューラルネットワーク (DNN) を用いて,平静音声のスペクトル特徴量と感情強度から感情音声と平静音声の差分スペクトルを予測し,これを平静の素片に畳み込むことで所望の感情強度の感情素片を生成する.また,入力感情強度に応した差分スペクトル特徴量を予測可能にするため,データ拡張により感情強度に対応した差分スペクトル特徴量を生成し,これらを学習に用いることで所望の制御則を DNN に埋め込む.実験的評価では,従来手法と比較して滑らかな感情制御ができていることを確認した.
著者
林 慶 西村 亮平 山木 明 金 輝律 松永 悟 佐々木 伸雄 竹内 啓
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.p951-956, 1994-10
被引用文献数
4

イヌにおいてメデトミジン20μg/kgとミダゾラム0.3mg/kg(Me-Mi), あるいはメデトミジン20μ/kgとブトルファノール0.1mg/kg(Me-B)を組み合わせて投与し, 得られた鎮静効果を, メデトミジン20, 40および80μg/kg(Me20, Me40, Me80)を単独投与した場合の効果と比較検討した. その結果, Me-MiおよびMe-Bでは非常に迅速に強力な鎮静効果が得られ, 約40分間の最大効果発現時には, いずれのイヌも完全に横臥し, 周囲環境, 音刺激に反応せず, 中程度の反射抑制と鎮痛作用が得られ, さらにMe-Miでは自発運動も全く消失し, 優れた筋弛緩作用も得られた. これに対しMe40, Me80では, その鎮静効果はMe-Mi, Me-Bに比べて弱くまた個体間のばらつきもやや大きかった. Me20ではその効果はさらに弱かった. イヌにおいてメデトミジンをミダゾラムあるいはブトルファノールと併用すると, 両者が相乗的に作用することにより低用量のメデトミジンを用いても, 強力な安定した鎮静効果が得られるものと考えられ, とくにメデトミジン-ミダゾラムの組み合わせでは非常に優れた鎮静状態が得られ, イヌの鎮静法として幅広く応用可能で有用であると考えられた.
著者
松永 悟行 大谷 大和 平原 達也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J102-D, no.10, pp.721-729, 2019-10-01

Deep Neural Network(DNN)を用いた音声合成の基本的な構成は,文章を構成する情報を数値で表現した言語特徴量を入力して音声を合成するための特徴量を出力するものである.これらの入出力特徴量は,DNNに適するように学習データを用いて正規化や標準化することが多い.しかし,自由文章から音声を合成する場合には,この正規化の範囲や標準化の分布から外れる値が言語特徴量に含まれる可能性がある.そして,この外れ値はDNNの外挿能力が十分でないために適切に補間されないまま伝搬して出力特徴量に誤差を生じさせる.本論文では,言語特徴量の外れ値の問題を解決するために,一発話内の閉じた条件における正規化手法を提案し,日本語の音声合成で重要な要素の一つである基本周波数について,予測誤差と合成音声の聴取による評価を行った.その結果,提案した正規化手法では,従来の正規化手法で発生していた外れ値は発生しないこと,正規化した値が基本周波数に適したものになったことにより少量の学習データでも予測誤差は従来よりも小さくなり,安定した予測が可能になることがわかった.
著者
林 慶 西村 亮平 山木 明 金 輝律 松永 悟 佐々木 伸雄 竹内 啓
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.951-956, 1994-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
29
被引用文献数
34 38

イヌにおいてメデトミジン20μg/kgとミダゾラム0.3mg/kg(Me-Mi), あるいはメデトミジン20μ/kgとブトルファノール0.1mg/kg(Me-B)を組み合わせて投与し, 得られた鎮静効果を, メデトミジン20, 40および80μg/kg(Me20, Me40, Me80)を単独投与した場合の効果と比較検討した. その結果, Me-MiおよびMe-Bでは非常に迅速に強力な鎮静効果が得られ, 約40分間の最大効果発現時には, いずれのイヌも完全に横臥し, 周囲環境, 音刺激に反応せず, 中程度の反射抑制と鎮痛作用が得られ, さらにMe-Miでは自発運動も全く消失し, 優れた筋弛緩作用も得られた. これに対しMe40, Me80では, その鎮静効果はMe-Mi, Me-Bに比べて弱くまた個体間のばらつきもやや大きかった. Me20ではその効果はさらに弱かった. イヌにおいてメデトミジンをミダゾラムあるいはブトルファノールと併用すると, 両者が相乗的に作用することにより低用量のメデトミジンを用いても, 強力な安定した鎮静効果が得られるものと考えられ, とくにメデトミジン-ミダゾラムの組み合わせでは非常に優れた鎮静状態が得られ, イヌの鎮静法として幅広く応用可能で有用であると考えられた.
著者
中本 裕也 松永 秀夫 相馬 武久 植村 隆司 松永 悟 小澤 剛
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.126-130, 2013-02-20
参考文献数
12

5カ月齢の雄のロシアン・ブルーが尿道閉塞に類似した排尿困難を主訴として,紹介元動物病院を受診した.各種検査所見から下部尿路炎症に対する治療を開始したが,数日後に両後肢での起立困難となった.神経学的検査では,軽度な頭部振戦や両後肢の上位運動ニューロン性不全麻痺が認められた.MRI 検査では,脳室周囲,頭部から腰部にかけての髄膜,腰髄実質における信号強度の異常が認められた.血清及び脳脊髄液における猫コロナウイルス(FCoV)の抗体検査や遺伝子検査結果から,FCoV-I型感染による中枢神経型猫伝染性腹膜炎ウイルス性髄膜脳脊髄炎が強く疑われた.雄猫における尿道閉塞による排尿障害は頻繁に遭遇する疾患だが,幼齢期で類似した症状を呈した場合にはFCoV 感染による中枢神経障害を鑑別疾患として考慮する必要があり,飼い主への慎重な説明が重要と考えられた.
著者
高橋 朋子 廉澤 剛 望月 学 松永 悟 西村 亮平 佐々木 伸雄
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.111-117, 1997-10-31 (Released:2010-09-09)
参考文献数
11

犬の皮膚型肥満細胞腫の治療にしばしば用いられるグルココルチコイド (GC) の抗腫瘍効果について, 病変の縮小程度を指標とした検討を行った。GC単独, 放射線療法や化学療法との組み合わせ, GCを使用しない治療法とを比較したところ, いずれの治療法でも一時的な腫瘤の縮小が見られたものの, 長期間にわたりコントロールできた例はなかった。しかし, GC単独での腫瘤縮小効果は, その他の療法と同程度ないしそれ以上と推測された。
著者
松永 悟行 平原 達也
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.331-338, 2011-08-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
11
被引用文献数
2

頭部伝達関数は相反法を利用することにより短時間で計測できる。相反法を利用した頭部伝達関数の計測には超小型スピーカユニットをシリコーン印象材に埋め込んだ耳栓スピーカが必要となる。この耳栓スピーカに用いる三種類の超小型スピーカユニット(DTEC-30008,ED-29689,SR6438NWS,Knowles)を自由空間で用いた場合の音響特性を計測した。いずれのスピーカユニットも高域では60dB程度の出力音圧レベルが得られるが,低域の出力音圧レベルは低かった。スピーカとマイクロホン間の距離が0.2mの場合,暗騒音レベル16dBの計測室において出力音圧レベルのSN比が0dB以上となるのは,DTEC-30008では120Hz〜20kHz,ED-29689では170Hz〜20kHz,SR6438NWSでは260Hz〜20kHzであった。また,いずれのスピーカユニットを用いた耳栓スピーカも10kHz以下では無指向性であった。DTEC-30008は12kHz〜17kHzにディップが生じ,それらの周波数と深さが方位によって大きく変化した。他のスピーカユニットは10kHz以上でほぼ無指向性であった。いずれのスピーカユニットも印加電圧を増加すると大きな2次及び3次高調波歪が発生した。それらのレベルを基本波レベルよりも小さくするためには,DTEC-30008,ED-29689,SR6438NWSへの入力電圧はそれぞれ1V,250mV,550mV以下にする必要があった。これらの結果より,DTEC-30008,ED-29689,SR6438NWSは相反法による頭部伝達関数の計測に利用できることが分かった。各スピーカユニットの有効周波数範囲は,暗騒音レベルが16dBで距離が0.2mでは120Hz〜10kHz,170Hz〜16kHz,260Hz〜20kHz,1.0mの距離では170Hz〜10kHz,280Hz〜16kHz,290Hz〜20kHzであった。
著者
中本 裕也 大和 修 松永 悟 内田 和幸 高沼 良征 坪井 誠也 小澤 剛 小川 博之
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.862-865, 2014

初期の臨床症状として視覚障害が認められ,剖検により神経セロイドリポフスチン症(NCL)と確定診断されたチワワの1例を報告する.本例の初診時には,視覚障害を除く神経学的な異常は認められなかった.眼科検査では,球後結膜,角膜及び視神経乳頭における異常が認められたものの,本症状への関連は否定的であった.中枢性視覚障害の確認のために実施した頭部MRI検査では,NCLのチワワに特徴的とされる重度な脳萎縮及び造影剤による髄膜の増強効果が認められた.今回の報告のとおり,NCLのチワワの初期臨床症状として視覚障害が認められる場合がある.若齢のチワワに視覚障害が認められた場合,眼科疾患と誤認されないように,チワワのNCL診断で有用とされる頭部MRI検査を早期に実施する必要がある.
著者
竹内 由則 大西 ゆみ 松永 悟 中山 裕之 上塚 浩司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.529-532, 2008-05-25

11歳8ケ月齢,雄のチワワにおいて,顆粒細胞の増殖を伴う髄膜腫が認められた.大脳右半球のクモ膜下において,微細顆粒状〜泡沫状の好酸性細胞質を有する小型〜大型の多角形細胞が充実性無構造に増殖していた.また,一部の腫瘍細胞の細胞質がPAS陽性を呈した.また,この腫瘍細胞は免疫染色においてVimentinおよびS-100に強陽性であった.電顕観察下では,腫瘍細胞は細胞質に小胞および小型円形の構造物を有していた.我々は,本症例を「顆粒細胞様変化を有する髄膜腫」と診断した.