著者
桐山 久 高畑 陽 大石 雅也 有山 元茂 今村 聡 佐藤 健
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.612-622, 2010 (Released:2010-11-19)
参考文献数
23

石炭系炭化水素に由来するベンゼン汚染が帯水層まで拡がった石炭ガス製造工場跡地に対して,既存の原位置浄化技術の適用性を評価した.透水性が比較的小さいなどの地盤特性からエアスパージング工法が適していると判断されたが,第二帯水層への適用方法と浄化期間の短縮方法が課題となった.そこで,二層式井戸を用いたエアスパージング工法を採用し,揚水循環併用バイオスパージング工法を当該工法の実施後に適用した.その結果,約2年間で地下水中のベンゼン濃度は環境基準値近くまで低減し,ベンゼン除去率は99.9%以上に達した.実サイトにおける浄化速度を評価して浄化予測手法の検証を行った結果,スパージング風量,通水量と地下水中のベンゼン濃度には相関関係があり,詳細な浄化予測を行うことが可能と判断された.
著者
桐山 久 高畑 陽 大石 雅也 有山 元茂 今村 聡 佐藤 健
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.555-566, 2009 (Released:2009-12-18)
参考文献数
34
被引用文献数
1

バイオスパージング工法は,ベンゼンで汚染された深部の土壌を浄化する場合に有効な浄化技術である.本工法は,帯水層中に空気を供給することにより,ベンゼンの気化による物理的除去と微生物分解の促進を期待できる.しかし,これまで栄養塩の効率的な供給方法が存在しなかったため,継続的な微生物分解効果を得ることが困難であった.そこで,筆者らは栄養塩を地盤に効率的に供給できる揚水循環併用バイオスパージング工法を開発した.実汚染サイトにおいて実証試験を行い,当工法によるベンゼンの浄化効果と空気や栄養塩の供給能力について検討し,従来工法と比較した優位性を確認した.また,本試験の結果に基づき,当工法の井戸配置や浄化期間予測についての設計手法を確立した.
著者
中野 拓治 中村 真也 松村 綾子 高畑 陽 崎濱 秀明 大城 秀樹 幸地 優作 平田 英次
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.I_11-I_20, 2020

<p>沖縄本島北部に分布する国頭マージ土壌を用いて油汚染土壌のバイオレメディエーションによる屋外実証試験を実施した.油汚染土壌に琉球石灰岩砕や栄養塩を加えることで, いずれも浄化促進効果が認められた.琉球石灰岩砕添加により油分(Total Petroleum Hydrocarbons(TPH))の浄化開始から分解活性が高まるまでの期間が短縮され, 強制通気が不要なランドファーミング工法により油汚染土壌の浄化を図れる可能性が示された.含水比低下やpH値の中性化により石油分解菌の浄化活性が高まったものと考えられる.実規模レベルでのパイロットスケール試験により, 油臭とTPH 濃度の関係を把握し, 浄化に必要な期間を評価するためのTPH除去速度係数が得られることが確認された.屋外実証試験結果は, 栄養塩添加や異なる浄化促進手法について, 実務に即した検討に有益な情報を与えるものと考えられる.</p>
著者
中野 拓治 中村 真也 松村 綾子 高畑 陽 崎濱 秀明 大城 秀樹 幸地 優作 平田 英次
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.I_9-I_15, 2019

<p>沖縄本島北部に分布する国頭マージ土壌を用いて油汚染土壌の室内浄化試験を実施し, 島内で産出される琉球石灰岩砕・粒子を含めた浄化促進材の添加を通じて, バイオレメディエーションによる油分浄化特性と影響要因について考察した.軽油模擬汚染土壌に琉球石灰岩を5%以上添加することにより, 土壌含水比が5~20%の範囲で油分の浄化速度(Total Petroleum Hydrocarbons(TPH)浄化速度)を向上させるとともに, 貝殻片や花崗岩砕等を用いた浄化促進材との比較検証の結果, 琉球石灰岩砕が最もTPH浄化速度を高めることを明らかにした.琉球石灰岩砕・粒子は, 油分分解菌の代謝活動に必要となる通気性とその棲息域を確保する細孔を多く有しており, 国頭マージ土壌のpHを酸性域から中性域に中和する効果もあることから, 土壌中の油分分解菌の活性化によりTPH浄化速度が向上したものと推察される.</p>
著者
中野 拓治 中村 真也 松村 綾子 高畑 陽 崎濱 秀明 大城 秀樹 幸地 優作 平田 英次
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.I_87-I_94, 2018

<p>沖縄本島北部に分布する国頭マージ土壌を用いて油汚染土壌の浄化室内試験を実施し,油汚染土壌の浄化方法の一つであるバイオレメディエーションを適用した場合の油分浄化特性と影響要因について考察した.その結果,含水比を適切に管理したうえで栄養塩を添加し,空気を通気することによって,酸性土壌である国頭マージ土壌であっても土中に存在する油分解菌によって油分が浄化されることを明らかにした.さらに,油汚染土壌内でのTPH除去作用が1次反応であると仮定して浄化効率を示すTPH除去速度係数を求め,栄養塩添加量,通気量,含水比を説明変数とする多変量解析を通じて,含水比がTPH浄化効率に与える影響が最も大きいことが確認された.</p>