著者
高石 昇
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.39-46, 1997-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

11ヵ月の問,重症高所恐怖症と外出恐怖に悩む一症例が9日間でイメージ系統的脱感作を達成し,次いで28日間の現実脱感作によって,全治に至ることが出来た。短期治癒の要因として,病態としては,社会恐怖その他の神経症の合併のないこと,罹病期間の比較的短いこと,患者特性として,高い知的レベル,強い治療動機づけ,回避傾向の少なさなどが考察された。投薬は本治療前後に変法なく,従ってその効果は相殺されると思われ,また,恐怖に対する認知再構成も困難であり,本例の治療経験は改めて脱感作法のすぐれた有効性とその適応要因を示していると思われる。
著者
高石 昇
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.47-59, 1997-03-31 (Released:2019-04-06)

この20年来,米国を中心に着実にすすみつつある心理療法統合の動きについて,行動療法の果たす役割に重点をおきながら概観した。まず,統合をすすめる要因として学派の乱立とそれぞれの治療効果の限界,医療経済からの圧迫などを指摘し,次いで最も頻繁に見られる組合せとしての行動一力動療法統合を歴史的に回顧し,1932年のフレンチ発言から70年代までの貢献を表示した後,加速度的に増加する80年代の業績をテーマ毎にまとめて紹介した。さらに,この統合成否の鍵をにぎる現実認識の相違,無意識の役割,感情転移,治療目標などの論点をあげ統合の可能性を論じた。最後に今後の課題にふれ,改めて認知行動療法の果たす役割を強調した。