著者
高見沢 恵美子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.595-602, 2012-10-01 (Released:2013-04-01)
参考文献数
55

Evidence-based practice(EBP)は,よい成果をもたらしコストベネフィットのある,患者のニーズに合った質の高いケアを効果的に実施することを目指している。クリティカルケア看護学分野における過去5年間の英文文献をレビューした結果,以下のことが明らかになった。クリティカルケア看護分野の雑誌に記載されていたEBPモデルは13モデル8編で,EBPモデルを研究に使用していた論文は4編であった。クリティカル看護分野で最も多く使用されていたのはIOWAモデルであり,実際にこのモデルを使用しEBPの効果が研究されていた。クリティカルケア看護分野の雑誌に複数回記載されたEBPモデルに使用されているEBPプロセスは,エビデンスによって回答可能な臨床的疑問の明確化,臨床的疑問を解決するエビデンスの検索と収集,エビデンスの評価,臨床経験・患者の価値観・施設の状況を考慮したエビデンスの統合,エビデンスの実施・有効性の評価であった。
著者
國松 敬介 石田 宜子 高見沢 恵美子 北村 愛子
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.51-59, 2019 (Released:2019-03-07)
参考文献数
17

目的:二次救急医療機関で救急隊とのホットライン対応において看護師が感じる困難および対処について明らかにする。 方法:二次救急医療機関で現在救急隊とのホットライン対応を行っている救急外来看護師11名に対し半構成的面接調査を行い、逐語録を作成し、困難および対処を表す部分を抽出し、コード化・サブカテゴリ化・カテゴリ化した。 結果:ホットライン対応の困難は【救急隊から必要な情報が得られない】【患者受入困難に納得できない相手への対応に困る】【電話での医師との連携に困る】【医師と患者受入決定の折り合いがつかないことに困る】【知識不足で情報の収集や選択に迷う】【自分の判断や対応を相手に否定されて困る】【繁忙時、ホットラインに対応しきれずに困る】の7カテゴリであった。ホットライン対応の困難への対処は【アセスメントしながら欲しい情報を意図的に収集する】【医師が迅速に患者受入判断ができるよう情報伝達する】【医師や看護師へ調整を図り連携する】【相手と良好な関係を築くよう対応をする】【医療スタッフに相談する】【その場が円滑に収まる行動をあえてする】【他者や自己と対話する】の7カテゴリであった。 考察:ホットライン対応の困難から、看護師と他職種との連携不足や看護師の知識不足、救急隊との認識の違いが見出された。対処から、今ある知識や能力で工夫すること、多職種との連携強化が見出された。明らかになった困難と対処から、教育や連携への支援の一つとして、医師・看護師・救急隊との合同勉強会の実施が考えられた。
著者
高見沢 恵美子 佐藤 禮子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.41-48, 1995
被引用文献数
1

人工肛門造設患者の主観的評価に基づいたQualityof Life (QOL) を適切に測定するために, 人工肛門造設患者の日常生活行動, 人工肛門造設術の手術観, および積極的生活姿勢の尺度を開発した。<BR>第1次研究として, 人工肛門造設患者の主観を反映した尺度を作成するため, QOLに関する質問紙の内容を把握する質的研究を行い, 第2次研究として, QOLに関する質問紙の信頼性と構成概念妥当性を検討する量的研究を行った。第1次研究の結果から, 米国で開発されたQuality of Life Indexでは測定できないと考えられた2項目を加えて作成した人工肛門造設患者の日常生活行動は, 米国の報告とは因子構造が異なっていた。日本人の生活観を基盤にした研究が必要であることが示唆された。因子分析によって項目を精選した人工肛門造設患者の日常生活行動, 人工肛門造設術の手術観, および積極的生活姿勢は, 日本人患者に適用できる測定用具であると考えられた。