著者
本田 恵子 高野 光司 小西 好彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

暴力や非行を繰り返す少年らには、感情のモニター力、自己制御機能とソーシャルスキルが不足している。本研究は、IQ70代のボーダーライン知能の少年に活用できるアンガーマネージメントプログラムの開発を目的とした。3年間の研究成果として、VRICS(Violence Risk Check Sheet)の作成と妥当性の検討、少年院・刑務所内で活用できるプログラムの開発、学校現場で活用できる啓発教育教材の開発とその実践により衝動性の減少および主体性の促進の効果が見られた。。アンガーマネージメントBプログラム(非行少年用)、Cプログラム(中学生用)が開発され、矯正教育施設および学校内で活用が開始されている。
著者
高野 光司
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.53-64, 2001-02-01

著者は, 1971年3月24日ゲッティンゲン大学医学部終身職教授, 運動神経生理部長(後部名改定により病態生理部長)に任官し, 1996年3月31日定年により部長職を解任された。以下は同年4月12日に行なわれた最終講義である。破傷風により現今, 全世界で1年に百万人のヒトが死んでいる。破傷風毒素はボツリヌス毒素とともに地球上で人類が知っている物質のうちで, 最も毒性が高い。ゲッティンゲン大学の若い医師A. Nicolaierによる最初の破傷風近代的研究, 同大学外科教授J. Rosenbachの実験, 北里柴三郎による病原菌の嫌気性培養の成功, 免疫の発見, Faberによる毒素の証明など19世紀後半の破傷風研究史とSherringtonの「抑制の興奮への変化仮説」など20世紀前半の神経生理学的研究を概観した。Brooks, Curtis, Eccles (1957)の脊髄運動神経細胞脱抑制説を簡単に紹介し, これが病因解明にはならないことを説明した。破傷風には, 局所性破傷風と全身性破傷風がある。脱抑制説による現在の教科書的病因論によれば, 全身性破傷風は, 局所性破傷風の総和であるが, 著者は, 臨床破傷風は, 局所性破傷風と全身性破傷風の和であるとする。また救命できるような破傷風は, 主としてガンマ運動系の活動冗進であり, ガンマ運動系を抑制するDiazepamの類が第1選択薬として全世界で使用されている理由を明解に示した。