著者
髙橋 文子
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.313-326, 2017 (Released:2019-09-03)
参考文献数
18

小学生及び幼児を対象に,美術作品を記憶して描くことによる教育的効果を,形状ストックという観点から検討した。美術作品を見た後,作品を見ないで描く記憶画と,作品を見ながら描く観察画の2枚のスケッチを描写するプログラムを,4歳~12歳児を対象に行った。形状ストックという事物レベルで描かれた物を比較することで,児童の認識,感受の様子をリアルに検討することが可能であった。記憶スケッチには,児童のもつ絵画意識が強く反映されていた。記憶スケッチプログラムは,形や色,印象等の感覚の精度を高め,より質の高い認識や感受を生み出すことを確認した。