著者
石川 義久 鮫島 都郷 野村 吉利 本橋 常正 織間 博正 田坂 邦安
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.715-720, 1989-10-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18
被引用文献数
6 6

HmLu細胞培養に順化した狂犬病ウイルスRC・HL株の抗原性および注射法を検討した. 交差中和試験において, 抗RC・HL株, 抗CVS株および抗HF-TC株血清は, それぞれ対応ウイルス株を最高の抗体価で中和した. 他方, 抗RC・HL株血清はHF5TC株よりCVS株を高い抗体価で中和した. 試作ワクチン注射犬の感染防御試験によって測定された最小有効抗体価は, RC・HL株による測定で11.3倍, HF-TC株による測定で約4倍であった. モルモットに対する最小有効抗体価はイヌのそれよりやや高く測定された. この傾向はモルモットにおける受身免疫試験でも認あられた. 試作ワクチンをイヌあるいはネコに対して0.5ml, 1.0mlおよび2.0ml皮下注射した場合, ならびに原液, 2倍, 4倍および8倍希釈ワクチン1.0mlを皮下注射した場合, それぞれ注射後2週および4週の抗体価に有意差は認められなかった. 試作ワクチン1.0mlを1回皮下注射されたイヌのHF-TC株により測定された抗体価は, 1ヵ月後29.3倍, 12カ月後5.4倍であった. 1ヵ月, 6ヵ月および12カ月間隔で2回注射されたイヌのHF-TC株による測定の2回注射後の最高中和抗体価は, それぞれ313.3倍, 368.1倍および340.3倍であった. 24ヵ月間隔で2回注射後の中和抗体価は1回注射後のそれと同程度であった. これら血清の抗体価をRC・HL株で測定した場合には, HF-TC株によって得られた値より2.2~11.4倍高かった. RC・HL株不活化ワクチンは, 1.0ml注射により12カ月間免疫を持続し, 再注射によりさらに高い抗体応答を引き起こすことが示された.
著者
桑原 博義 布谷 鉄夫 田島 正典 加藤 篤 鮫島 都郷
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.901-909, 1994-10-15
被引用文献数
20

離乳期の子豚に発生した新しい豚病を検索した. 本病は臨床的に元気消失, 発熱,削痩, 発咳などとともに高度な腹式呼吸を特徴とするため俗にヘコヘコ病と呼ばれている. 罹患子豚に共通した病変はび慢性のII型肺胞上皮細胞の増殖を伴った間質性肺炎, 髄膜脳炎, リンパ組織の萎縮などであった. 罹患子豚の諸器官から初代豚肺細胞培養(PLC)に原因ウイルスが分離され, 血清学的に豚生殖器・呼吸器症候群(Lelystad)ウイルスと同定された. 直径約49nmの多数のウイルス粒子が, 分離ウイルスを感染させたPLC培養の肺胞上皮細胞と肺マクロファージの細胞質に検出された. 本病は分離ウイルスをコンベンショナルの子豚に鼻腔内接種することにより再現された.