- 著者
-
中村 卓
鵜沢 隆
- 出版者
- 一般社団法人 日本デザイン学会
- 雑誌
- デザイン学研究 (ISSN:09108173)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.4, pp.4_99-4_106, 2012 (Released:2013-01-17)
- 参考文献数
- 25
レッド・ブルーチェアはG.Th.リートフェルト(1888-1964)によってデザインされた家具作品として現在も広く知られており、そのデザインは1918年頃に初めて制作されてから、形状・彩色等の異なる様々な作例が作られた。筆者は制作年代とデザインの異なる3つの作例(1918, 1921, 1935)の実測調査を行い、既に指摘されている架構の構成の特徴を問い直した。その結果、1:2の比率の矩形が架構全体を通して角材の架構の配置の基準として立体的に展開していることを指摘した。また実測調査した3作例を比較した結果、部材の寸法値はそれぞれで異なるが、角材の配置基準は一貫していた。そのため架構の構成は部材の形状差に柔軟に対応し得るシステムをその特徴としていることが明らかとなった。さらにこの特徴を考慮し、リートフェルトの他の代表的作品とレッド・ブルーチェアを比較した。その結果、レッド・ブルーチェアの特徴的な構成は後の作品の展開の上で、中核的な役割を果たしていたことが確認され、リートフェルトの家具作品の中でのレッド・ブルーチェアの重要性を指摘した。