著者
河田 祥吾 岡田 唯男 高橋 亮太 鵜飼 万実子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.116-127, 2021-09-20 (Released:2021-09-22)
参考文献数
42
被引用文献数
2

メンタルヘルスをプライマリ・ケアへ統合することは,適切なケア,アウトカム改善,資源の適正利用などへ貢献し,世界的な潮流である.諸外国においては,プライマリ・ケアでのメンタルヘルス教育の開発がされてきたが,日本において家庭医への体系的な教育は十分でない.本稿では,家庭医養成で求められるメンタルヘルスのcompetencyを明らかとすることを目的にscoping reviewを行い,諸外国の教育カリキュラムなどをthematic analysisを用いて分析した.抽出されたcompetencyは,「プライマリ・ケアの一般的能力」「プライマリ・ケアにおけるメンタルヘルスの一般的能力」「プライマリ・ケアにおけるメンタルヘルスの特異的能力」に大別される包括的なものであった.本稿のデータを基に,日本の現状を踏まえたcompetency list作成やモデルカリキュラムの策定などが求められる.