著者
河田 祥吾 岡田 唯男 高橋 亮太 鵜飼 万実子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.116-127, 2021-09-20 (Released:2021-09-22)
参考文献数
42
被引用文献数
2

メンタルヘルスをプライマリ・ケアへ統合することは,適切なケア,アウトカム改善,資源の適正利用などへ貢献し,世界的な潮流である.諸外国においては,プライマリ・ケアでのメンタルヘルス教育の開発がされてきたが,日本において家庭医への体系的な教育は十分でない.本稿では,家庭医養成で求められるメンタルヘルスのcompetencyを明らかとすることを目的にscoping reviewを行い,諸外国の教育カリキュラムなどをthematic analysisを用いて分析した.抽出されたcompetencyは,「プライマリ・ケアの一般的能力」「プライマリ・ケアにおけるメンタルヘルスの一般的能力」「プライマリ・ケアにおけるメンタルヘルスの特異的能力」に大別される包括的なものであった.本稿のデータを基に,日本の現状を踏まえたcompetency list作成やモデルカリキュラムの策定などが求められる.
著者
高橋 亮太郎 奥村 健二 大山 智鈴 小川 晃子 大野 正弘 浅野 美樹 田口 宣子 鈴木 正之 池田 信男 室原 豊明
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.277-284, 2012 (Released:2013-09-01)
参考文献数
27

近年、血管内皮機能を非侵襲的に指尖で測定できるreactive hyperemia peripheral arterial tonometry (RH-PAT) が開発された。本研究で我々は、人間ドック受診者を対象にRH-PATを用いた血管内皮機能測定について検討した。当院の2日ドック受診者で脳心血管病の既往がなく投薬を受けていない男性120名(平均年齢53±9歳)を対象とし、2日ドックの検査項目に加え、アポリポ蛋白B100、空腹時インスリン、高感度CRPなどを測定した。また、上腕駆血開放後の動脈拡張反応を指尖容積脈波として検出するreactive hyperemia index (RHI) をEndo-PAT2000を用いて自動計測し、血管内皮機能とした。全例で所要時間30分でRHIの測定が可能であった。RHIの平均値は1.76±0.41あり、RHIは年齢、心拍数、HbA1c、アポリポ蛋白B100、総コレステロール、LDLコレステロール、non HDL コレステロールと有意な負の相関を示した。喫煙歴(packyears)と空腹時血糖値はRHIと有意には至らないものの負の相関の傾向がみられた。RHIを従属変数としたステップワイズ重回帰分析では年齢、LDLコレステロール、心拍数がRHIの独立した規定因子であることが示された。本研究の結果より、人間ドック受診者においてRH-PATを用いて測定した血管内皮機能は心血管病の危険因子との相関がみられ、初期動脈硬化のサロゲートマーカーとしての可能性が確認された。
著者
高橋 亮太
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
ラテンアメリカ・レポート (ISSN:09103317)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.34-43, 2019 (Released:2019-07-31)
参考文献数
21

ブラジルのボルソナロ新大統領は、2018年の大統領選挙キャンペーン期間中、中国への警戒、在イスラエル大使館の移転、パリ協定からの脱退など、過激ともいえる発言や公約で国際社会の注目を浴びた。しかしながら、同大統領は就任以後、外交政策に関する過激な発言を控えるようになり、穏健化をみせている。本稿では、大統領就任前の外交政策に関する公約と就任後の対外行動を比較することで、ボルソナロ政権の外交政策に対する理解を深めることを試み、外交政策の成果について若干の評価を与える。さらに、日伯関係を含む今後のボルソナロ外交の見通しについて述べたい。