著者
鶴田 利郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.411-422, 2012-03-30 (Released:2016-08-08)
参考文献数
28

本研究では,ネット安全教育で扱うべき教育内容として示されている「ネット危機」(田中2009a)の1つであるネット依存に関する指導において,自己の生活のあり方を自律的に改善する力を育てることを目的とするR-PDCAサイクルの活動に注目した.そこで,田中(2009b)が示したR-PDCAサイクルの特色,具体的活動例をもとに,ネット依存に関するネット安全教育の単元内容を構成し,2009年7月から9月の間の計8時間の枠組みで,私立K高等学校の情報Bの授業内で授業実践を試行した.生徒を対象に行った質問紙調査の結果,授業実践で行ったR-PDCAサイクルの活動を通して,多くの生徒が携帯電話やパソコンの利用におけるルールの大切さについて肯定的な認識を持ったこと,携帯電話やパソコンを利用する際に,多くの生徒が自分自身で様々なことを意識しながら利用するようになったと認識していることなどが確認できた.以上より,ネット依存に関する指導におけるR-PDCAサイクルの学習活動の有効性が示唆された.
著者
鶴田 利郎
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

本研究は、高校生に見られやすいインターネット依存の依存的な意識や行動などの特徴を改善するための効果的な教育方法を提案することを目的としたものである。そのために、高校生のインターネット依存を改善することを目的とした単元を開発し、首都圏内の高校において授業実践を実施し、実践を通した生徒の依存傾向の変化に関する調査等の分析を行うことによって効果的な教育方法を検討した。その結果、「R-PDCAサイクルの活動を継続的に行うこと」、「インターネット環境への適応を促す教育活動を継続的に行うこと」、「生徒同士がネット利用のあり方について本音で話し合う機会を設けること」などが効果的な方法として考えられた。
著者
鶴田 利郎 野嶋 栄一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.065-068, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

本研究では,高校生のインターネット依存を改善することを目的とした単元の開発を試みた.開発した単元は,各学校の情報科教育のカリキュラムに応じて,3時間,5時間,9時間で実施できる3種類の単元を開発したところに特色がある.そして2015年度,2016年度に複数の学校において授業実践を実施した.その後,鶴田ほか(2014)の尺度を用いた生徒の依存傾向の変容についての質問紙調査などを通して,開発した単元による授業実践の成果と課題について検討した.その結果,3時間の単元ではメール不安,長時間利用,ながら利用因子の改善に,5時間の単元ではこれらに加えて精神的依存状態因子の改善に,そして9時間の単元はすべての因子の改善に有効であることが示唆された.