著者
鹿嶋 桃子
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.27-35, 2013-03-31

自由遊びへの保育者の介入をめぐっては、指導と子どもの自発性のバランスのあり方をめぐる対立がある。そこで、本研究ではこうした対立を乗り越える視座として、子どもに必要な経験を保育者が読み取り、その発達に必要な支援をする過程として遊び指導を位置付けジユウアソビ場面の分析を行った。その結果、次のことが示唆された。保育者は遊びを指導する際に、保育者の指導上のねらいを意識下あるいは無意識下で参照しながら指導する。しかしながら、指導を通した子どもと保育者の相互作用結果としての遊びの展開内容はその場の状況によって変化しうるという意味で、保育者のねらい通りには展開しない自由で創発的過程である。すなわち遊びの指導とは、子どもの活動の自由が保障されている分だけ管理保育とその性質を異にし、子どもたちの発達支援を保障するものと考える。