著者
一瀬 幸人 原 信之 矢野 篤次郎 麻生 博史 横山 秀樹 大田 満夫
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.233-238, 1993-04-20
被引用文献数
3

開胸により発見された癌性胸膜炎(胸膜播種あるいは癌性胸水)9例,および手術操作によって癌が散布されたと思われた症例(胸月空内再発リ又ク症例)など10例,計19例に対し,閉胸前に胸月空内Hypotonic Cisplatin Treatmentを施行した.この処置は,37℃に加温した蒸留水にシスプラチン濃度が50μg/mlになるようにした低張性溶液で10〜15分問,胸腔内を暴露するものである.評価可能な癌性胸膜炎8例全例において,現在までのところ6〜29ヵ月問,胸膜病変はcontrolされている.また胸腔内再発リ又ク症例群においても最長31ヵ月の観察期問中,月河膜病変の出現はない.この処置により胸膜が破壊される為,術後排液量が非施行群に比し有意に多い以外は術中,術後に重篤な合併症はない.
著者
久田 友治 原 信之 麻生 博史 矢野 篤次郎 一瀬 幸人 大田 満夫
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.547-550, 1991-08-20
被引用文献数
5

肺癌術後に発症した肺塞栓症の二例を報告した.症例1,pTlN0M0,腺癌.左上葉切除後,6日目に気分不良,頻脈にて発症し肺血流シンチにて診断.ヘパリン投与にて改善.症例2,pT3N2M0,扁平上皮癌.左上葉切除後10日目にショックにて発症し,5時間後に死亡.剖検にて本症と診断した.肺癌に関連した肺塞栓症は,まれではなく,またその診断と治療は複雑であるため,肺癌の臨床においてはより注意すべき病態である.