著者
原 信之 大田 満夫 古川 次男 吉田 猛朗 井口 潔
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.441-448, 1982-09-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2

127例の肺癌手術例を対象にして術後呼吸困難に及ぼす術前術後因子を検討した.肺葉切除104例中42%は術後呼吸困難がなく, 49%は軽度, 8%は中等度, 1%は重症であった.全肺摘除23例では, 軽度48%, 中等度35%, 重症17%であった.術後の呼吸困難の程度は, 術式, 術後肺機能, 気道感染の有無に強く影響された.全肺摘除患者に運動負荷試験を行ったが, いつれの症例も運動能力の低下があり, 軽度の負荷に対しても換気量, 酸素消費量, 心拍数は著明に増加した.
著者
一瀬 幸人 原 信之 矢野 篤次郎 麻生 博史 横山 秀樹 大田 満夫
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.233-238, 1993-04-20
被引用文献数
3

開胸により発見された癌性胸膜炎(胸膜播種あるいは癌性胸水)9例,および手術操作によって癌が散布されたと思われた症例(胸月空内再発リ又ク症例)など10例,計19例に対し,閉胸前に胸月空内Hypotonic Cisplatin Treatmentを施行した.この処置は,37℃に加温した蒸留水にシスプラチン濃度が50μg/mlになるようにした低張性溶液で10〜15分問,胸腔内を暴露するものである.評価可能な癌性胸膜炎8例全例において,現在までのところ6〜29ヵ月問,胸膜病変はcontrolされている.また胸腔内再発リ又ク症例群においても最長31ヵ月の観察期問中,月河膜病変の出現はない.この処置により胸膜が破壊される為,術後排液量が非施行群に比し有意に多い以外は術中,術後に重篤な合併症はない.
著者
清水 信義 寺本 滋 人見 滋樹 伊藤 元彦 和田 洋巳 渡辺 洋宇 岩 喬 山田 哲司 山本 恵一 龍村 俊樹 山口 敏之 岡田 慶夫 森 渥視 加藤 弘文 安田 雄司 三上 理一郎 成田 亘啓 堅田 均 鴻池 義純 福岡 和也 草川 實 並河 尚二 木村 誠 井上 権治 門田 康正 露口 勝 宇山 正 木村 秀 香川 輝正 斉藤 幸人 武内 敦郎 森本 英夫 垣内 成泰 横山 和敏 副島 林造 矢木 晋 西本 幸男 山木戸 道郎 上綱 昭光 長谷川 健司 山田 公彌 岡本 好史 中山 健吾 山内 正信 佐々木 哲也 毛利 平 江里 健輔 宮本 正樹 森田 耕一郎 平山 雄 中川 準平 吉松 博 村上 勝 永田 真人 溝口 義人 大田 満夫 原 信之 掛川 暉夫 枝国 信三 足達 明 富田 正雄 綾部 公懿 川原 克信 西 満正 島津 久明 三谷 惟章 馬場 国昭 岡田 浪速 内藤 泰顯 櫻井 武雄 岡田 一男 西村 治 前部屋 進自 前田 昌純 南城 悟
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1011-1019, 1991-12-20
被引用文献数
1

西日本地区30施設の共同研究により,肺癌の治癒切除例に対する補助化学療法の有用性を検討した.このtrialが終了した後5年の観察期間が経過したのでその成績を報告する.対象は絶対的治癒切除,相対的治癒切除となった肺腺癌であり,A群はMMC(20+10mg)+tegafur600mg1年間経口投与,B群はMMC(20+10mg)+UFT400-600mg1年間経口投与とした.1982年11月から1985年11月までにA群113例,B群111例の計224例が集積された.不適格例が43例であり,A群88例,B群93例を解析対象とした.背景因子には差は認めなかった.成績は5年生存率および5年健存率で検討した.両群の全症例の5年生存率はA群64.3%,B群55.6%で有意差は認めず,健存率でも差はなかった.後層別解析で,N2症例において5年生存率および5年健存率とも,B群が良好であった(p=0.029,p=0.048).
著者
久田 友治 原 信之 麻生 博史 矢野 篤次郎 一瀬 幸人 大田 満夫
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.547-550, 1991-08-20
被引用文献数
5

肺癌術後に発症した肺塞栓症の二例を報告した.症例1,pTlN0M0,腺癌.左上葉切除後,6日目に気分不良,頻脈にて発症し肺血流シンチにて診断.ヘパリン投与にて改善.症例2,pT3N2M0,扁平上皮癌.左上葉切除後10日目にショックにて発症し,5時間後に死亡.剖検にて本症と診断した.肺癌に関連した肺塞栓症は,まれではなく,またその診断と治療は複雑であるため,肺癌の臨床においてはより注意すべき病態である.
著者
服部 正次 池上 晴通 建石 竜平 早田 義博 船津 秀夫 大田 満夫 米山 武志 下里 幸雄 橋本 邦久 西村 穣 伊藤 元彦 村上 国男 早乙女 一男 佐藤 正弘 沢村 献児
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.361-370, 1979-12-25

最近5年間に手術をうけた肺腺淋393例の予後を検討し,また,術後Adjuvant chemorapyの効果をも比較検討した.組織亜型の如何を問わず,高分化,型腺癌および,臨床病期I期例;腋瘍径3cm未満,治癒切除をうけたものの予後が優れていた.乳頭型腺癌と腺管型腺癌では,分化度別にみても,5年生存率,50%生存率ともに有意差なく,今後他の観点からの詳細な亜型分類の必要がある.また,術後化学療法は,EX+MMC+5・FU治療群が良好な生存曲線を示した.