- 著者
-
大城 正巳
廣末 雅幸
平安山 睦美
上間 昇
久田 友治
- 出版者
- 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
- 雑誌
- 日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.4, pp.759-765, 2019-08-25 (Released:2019-09-19)
- 参考文献数
- 15
人口当たりの年齢別輸血頻度と主な診療科の輸血単位数の変化について詳細を明らかにすることを目的として,輸血用血液製剤の使用状況調査を行った.輸血用血液製剤供給上位19施設から2012,2017年度の輸血情報(輸血年月日,製剤名,製造番号,診療科,患者識別番号(匿名化),輸血時年齢)を電子データで収集した.2017年度の輸血頻度の最頻値年齢は,赤血球製剤が89歳,血漿製剤が78歳,血小板製剤が82歳であった.年度間で50歳以上の輸血頻度が,有意に減少していた.その増減率中央値は赤血球製剤が-21.1%,血漿製剤が-23.1%,血小板製剤が-28.0%であった.多くの診療科で使用量は減少していたが,救急集中治療科は全ての製剤が増加していた.赤血球製剤の輸血単位数は,68,352Uから64,200Uに減少していたが,患者実人数は,8,377名から8,882名に増加していた.その内訳は,2単位輸血の患者実人数は増加し,4~8単位は減少していた.その傾向は,内科一般,外科一般,心臓血管外科,整形外科で強かった.これらの状況から,高齢化による患者数の増加はあるものの,患者一人当たりの輸血量は抑制されていることが確認できた.