著者
黄 景逸 阿部 恒之
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PE-015, 2021 (Released:2022-03-30)

不適切な婚姻関係である不倫問題への態度に,道徳基盤,特に公正感がもたらす影響を検討する。■方法 ・対象・手続き:2020年2月インターネット調査を行った。都市圏と非都市圏の居住区(2),20-60代の各年代(5),男女(2)でセルを構成し,計4,120名が回答。全てを分析対象とした。・測度:①婚姻関係への態度:不倫問題への評価(7項目,6件法)。②道徳基盤:Haidt(2012)の和訳版5尺度(計30項目,件法)。■結果 婚姻関係への態度について探索的因子分析(最尤法,固有値1基準,プロマックス回転)を行った結果,婚姻重視と不倫非難の2因子が抽出された。これらそれぞれを目的変数,道徳基盤の5尺度を説明変数とする重回帰分析を行ったところ,婚姻重視因子も不倫非難因子も,公正/欺瞞以外の4尺度が有意に影響しており,婚姻重視因子は忠誠/背信が,不倫非難因子は神聖/堕落が最も強く影響していた。■考察 不適切な婚姻関係への態度は婚姻重視と不倫非難の2因子で構成されており,いずれにも公正/欺瞞の道徳基盤の影響は認められず,いわゆる善悪判断には基づかないことが示唆された。※JSPS科研費17H02259