- 著者
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黒岩 常祥
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
- 雑誌
- 日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.3, pp.128-136, 2003-06-30 (Released:2011-03-09)
- 参考文献数
- 18
真正粘菌でミトコンドリア核を発見したことによって, ミトコンドリアの分裂は, ミトコンドリア核分裂とミトコンドリア基質の分裂 (ミトコンドリオキネシス) に分けて研究することが可能となった.ミトコンドリオキネシス, いわゆるミトコンドリアの分裂機構は, 主にミトコンドリアの分裂が同調化できる原始紅藻Cyanidioschyzon merolaeで解析された.その結果, ミトコンドリアは, 古代からのFtsZリング, 内外のMDリング, そしてダイナミンリングの四重のリングを順次に使って分裂していることが明らかとなった.驚くことに, ほとんど同じリングが, 植物の機能の現場である葉緑体 (色素体) の分裂にも使われていた.これは偶然であろうか.ミトコンドリアと色素体の起源が同じであるという視点からも真核細胞誕生の謎を考察する.