著者
田村 征洋 黒岩 祥太
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-19, 2009-12

2005年9月11日の衆議院総選挙における自民党圧勝の要因は何か.本論文では『人々にとって最も好ましい公共政策とは何か,その傾向はどのように有権者の政党支持や選挙に於ける投票に影響しているのか』を計量的に位置付けることを考え,政策に対する有権者意識に関する基礎的知見を得る為に,政策全般に対する有権者の選好傾向を調査・分析した.具体的には,政策全般へのコンジョイント分析を用いる.従来の5段階評価などは政党(全体)評価と個々の政策(個別)評価の関係を定量化することが困難であり,「軽い負担で手厚いサービス」という安直な結果に陥りやすい.現実は各政策を個別に評価(投票)するのではなく政党単位(政策の組合せ)で評価する.従って,全体評価から部分(要因)価値を定量化するコンジョイント分析は有効な手法であろう.結果は野党が掲げる理想的な政策(公共事業費の大幅な削減や消費税の現状維持,年金の一元化など)の効用値は高くなるものの政党単位で見た場合(各党の掲げる政策に近い水準を当てはめた場合)では有権者の政策に対する選好傾向にバラツキが生じ,今回の選挙結果を裏付ける有効な知見を得た.
著者
田村 征洋 黒岩 祥太
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:13498940)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-19, 2009 (Released:2017-06-27)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

2005年9月11日の衆議院総選挙における自民党圧勝の要因は何か.本論文では『人々にとって最も好ましい公共政策とは何か,その傾向はどのように有権者の政党支持や選挙に於ける投票に影響しているのか』を計量的に位置付けることを考え,政策に対する有権者意識に関する基礎的知見を得る為に,政策全般に対する有権者の選好傾向を調査・分析した.具体的には,政策全般へのコンジョイント分析を用いる.従来の5段階評価などは政党(全体)評価と個々の政策(個別)評価の関係を定量化することが困難であり,「軽い負担で手厚いサービス」という安直な結果に陥りやすい.現実は各政策を個別に評価(投票)するのではなく政党単位(政策の組合せ)で評価する.従って,全体評価から部分(要因)価値を定量化するコンジョイント分析は有効な手法であろう.結果は野党が掲げる理想的な政策(公共事業費の大幅な削減や消費税の現状維持,年金の一元化など)の効用値は高くなるものの政党単位で見た場合(各党の掲げる政策に近い水準を当てはめた場合)では有権者の政策に対する選好傾向にバラツキが生じ,今回の選挙結果を裏付ける有効な知見を得た.
著者
黒岩 祥太
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.35-38, 2020

<p>社会調査とその統計分析を専攻してきた私が本誌優秀論文賞を受賞できたことは,現場の医師の先生方をはじめとした医療従事者の方々との緊密なコラボレーションの結果だと考えている.</p><p>本稿では,まずどのような背景から私が論文「高齢者によるケア活動は,生きがいにつながるのか? ―地域高齢者によるケア活動と主観的QOL(quality of life)との関連―」を投稿したのかを説明する.</p><p>次に論文の元になった研究をどのような手順で進め,その際に気をつけたことは何であったのかを,仮説の構築と検証の段階に分けてそれぞれ具体的に記載する.不完全ではあるが,現場の方々が研究を実施する際の,何らかの参考になればと考える.</p><p>今後,地域住民のQOLに配慮した地域づくりのためには,医療を中心とした学際的なコラボレーションがより重要となる.本研究がささやかながら,その一つのケースになれば幸いである.</p>