著者
黒沢 麻美
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-7, 2016-03-31

急速に進む高齢化により、老年人口の増加と、それに伴い要介護人口が増加している現状がある。一方、介護現場では介護職員の不足が深刻であり、2025年には約38万人の介護職員が不足するといわれている。1)本研究は、筆者が「介護職員のQOLが介護業務継続に及ぼす影響に関する研究」の中で調査した結果注2)から、さらに「個別生活満足感」と「個別職務満足感」に焦点を当て、介護職員の職務に関する実態を明らかにするとともに、離職意向と関連のある個別職務満足感と個別生活満足感の構成要素である因子構造を検討することを目的とした。本研究のデータは、S市所在の高齢者福祉施設に勤務する介護職員241人を対象とした調査から得ており、そのデータの中から「個別職務満足感」と「個別生活満足感」に焦点をあて、それぞれの背景因子を探るため、最尤法により、カイザー基準で因子分析を行った。結果、個別職務満足感は₄つの因子に分類でき、個別生活満足感は₅つの因子に分類することができた。また、職場退職意向・離職意向には職務条件・職務満足感のみならず、生活満足感も関わっていることが明らかとなった。従って、介護職員の離職を防止するには生活満足感を高めることが必要であることが示唆された。
著者
黒沢 麻美 佐藤 直由
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.11-20, 2017-03-31

本研究は、Y市における介護職員の仕事の満足度や生活の満足度を把握し、介護職員が介護業務を継続、離職意向を示すそれぞれの要因を明らかにすることと、S市の調査結果との比較を行うことで介護職員の離職防止の対応策を検討することを目的としてアンケート調査を実施した結果である。アンケート調査は平成26年に筆者がS市の介護職員に行った調査と同様の内容とした。その結果、介護職員が介護業務を継続する要因となり得る個別職務満足感と個別生活満足感の構成要素を明らかにすることができ、Y市はいずれも「人間関係」に関する要素、S市は「自分自身」に関する要素が重要視されている傾向が見られた。