著者
高橋 弘毅 黒木 由夫 白鳥 正典 千葉 弘文 工藤 和実 黒沼 幸治
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は急性肺障害でのToll様受容体(TLRs)の役割を明確にし、肺コレクチン、SP-Aによる抑制効果を臨床薬に応用する基盤的研究である。ブレオマイシン(BLM)投与SP-A ノックアウトマウスは野生型よりも死亡率が高く、肺内炎症性サイトカイン産生が増強された。BLM刺激でラット肺胞マクロファージから炎症性サイトカインが誘導され、SP-A添加で有意に抑制された。sTLR2遺伝子導入HEK293細胞では、BLM刺激でNF-kBが誘導された。BLMはsTLR2と直接結合し、それはSP-Aで阻害された。以上より、BLM誘導シグナルはTLR2依存性で、肺コレクチンはその阻害効果をもつことが示された。
著者
黒沼 幸治 高橋 弘毅
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

肺炎球菌感染症は重症化しやすく、侵襲性肺炎球菌感染症は致死率も高い。肺炎球菌感染症の莢膜血清型による重症度の違いが疫学研究により報告されており、 我々のサーベイランスにおいても肺炎球菌ワクチンの普及に伴い、北海道における侵襲性肺炎球菌感染症の血清型にも変化がみられている。肺コレクチンが肺炎球菌成分と特異的に結合し、また、マクロファージを活性化させて 菌の貪食に必要な受容体を増加させることで抗菌活性を発揮することを確認した。肺炎球菌の病態としてワクチン効果、宿主の免疫状態、肺コレクチンなどの制御因子との関連が重要であることが明らかとなった。