- 著者
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黒瀬 大介
- 出版者
- 九州大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2007
日本各地のイタドリ群落において病原菌の探索を行った結果,さび病菌2種,及び斑点病菌1種が優先的に分布していることが明らかとなった.しかしながら,さび病菌2種については,異種寄生性あるいは英国産自生植物に対して病原性を示すことが判明した.一方,斑点病については年間を通した経時的な定点調査に基づき,病斑が初春から群落全体にわたり急速に形成され,梅雨時には激しい病徴を呈し,晩秋には全ての罹病葉が落葉することが確認された.本病原菌の系統分類学的な位置づけを詳細に解析し,新たにイタドリ斑点病菌Mycosphaerella polygoni-cuspidatiとして再記載するとともに,本属関連糸状菌1種を新種(M.shimabarensis)として提案した.さらに斑点病菌の生活環は不完全世代をもたず偽子嚢殻及び精子器のみを有し,群落内で完結することを解明した.子嚢胞子の形成はin vivoで認められず,菌糸体が感染能を示すことから種源としての利用の可能性が想定された.そのため斑点病菌菌糸体のイタドリに対する最適発病条件を提示するとともに,イタドリに特異的に病原性を示すことを実証した.これらの結果について取り纏め,論文発表を行った.また国内学会では、4月に平成20年度目本植物病理学会大会(松江),7月に日本微生物資源学会第15回大会(千葉),3月に平成21年度日本植物病理学会大会(山形)に参加した.また8月には9th International Congress of Plant Pathology(Torino,Italy)国際学会にも参加した。